「ななつのこ」ほんわか、作中作にも癒される | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ななつのこ (創元推理文庫)/加納 朋子

日常の謎:ワクワクワクワクワクワク /5

かわいらしい雰囲気:あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分あったか気分 /5



加納朋子さんの「ななつのこ」を読みました。

いろんな方が読まれていて気になっていたのですが、

naminnieさんのレビューに背中を押され読んでみました。



『スイカジュースの涙』

 「ななつのこ」という短編集に出会った駒子は作者にファンレターを書こうと

 思い立った。最近身近で起こった謎、点々と続く血痕についてを書き添えたところ、

 なんと謎の真相を推理した返事が届いた。


『モヤイの鼠』

 駒子は友達のたまちゃんとギャラリーに絵を見に行った。駒子はそこで

 絵をほんのちょっと傷つけてしまう。一度は逃げ出したが、やはり謝罪をしようと

 ギャラリーに戻ったところ、同じものであるはずの絵の印象が変っていた。


『一枚の写真』

 子どもの頃のアルバムから一枚だけ写真が欠けていた。その写真は忘れた頃に

 駒子のもとに戻ってくるが、なぜそんなことになったのか不思議で仕方がない。

 駒子は早速「ななつのこ」の作者への手紙にその出来事をしたためた。


『バス・ストップで』

 自動車学校の送迎バスのバス停で、老婦人が米軍住宅地区の金網の

 前の植え込みにしゃがんで何かをやっていた。興味を持った駒子は

 老婦人の行動をひそかに観察するが何をしているのかわからない。


『一万二千年後のヴェガ』

 デパートのプラネタリウムで解説を読み上げていたのは自動車学校の

 バスで知り合った瀬尾だった。次の日、デパートにあった巨大なビニールの

 首長竜が別の遠い場所で発見されるという小さな事件が起こった。

 

『白いタンポポ』

 駒子は小学一年生の校庭でのキャンプにボランティアとして参加した。そこで

 出会った真雪ちゃんはあまり集団に馴染まない女の子だった。

 真雪ちゃんは、たんぽぽなどの花の色を真っ白に塗りつぶすそうだが……。


『ななつのこ』

 歯痛に悩まされた駒子は歯医者に行き、その帰り書店に立ち寄った。そこで

 レジを打っていたのは、またしても瀬尾だった。2人は喫茶店で星の話をし、

 瀬尾の最後のプラネタリウムのバイトを見に行くことにした。



ステキなお話でした。

心温まります。


主人公の駒子がお気に入りの短編集「ななつのこ」の

作者との文通を通して、日常のちょっと不思議な出来事の真相を

解明していく、というお話です。


駒子のお気に入り「ななつのこ」という作中作のストーリーも

田舎の少年「はやて」くんが遭遇した日常の小さな謎を

なぞの女性「あやめ」さんと解いていく、というものです。


駒子が出会う小さな日常の謎は

その「ななつのこ」の短編のストーリーを

ひとつずつ引き合いに出す、という形式で

短編1本で2つのストーリーを楽しむことができます。


ほんわかして優しい雰囲気が心地よい作品でした。

加納作品は2作目ですが、

この雰囲気はいいですね。

癒されます。


連作短編ですが、

続きがあるそうです。


読者であるだけの駒子のファンレターに

ちゃんとした長い返事を返し続けてくれる

「ななつのこ」の作者の謎がここで明かされ、

次回も楽しみになってきました。