「冥談」厭ですねぇ。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

冥談 (幽BOOKS)/京極夏彦

怪しい:いるよいるよいるよいるよ /5

怖い:涙3涙3 /5

好き:あったか気分あったか気分あったか気分 /5



京極夏彦さんの「冥談」を

読みました。



『庭のある家』

 久し振りに友人の家を訪れた。庭には椿が咲いている。昼間なのに

 部屋の中が異様に暗い。友人が医者を呼びに行くというので

 理由を聞くと、妹が次の間で死んでいるという。


『冬』

 藺草の香りを嗅ぐと冬の冷たさを思い出す。母方の祖母の実家に

 正月前に訪れる習慣があった。その大きな古い家の小部屋の

 畳に寝転ぶと、穴に少女の顔があった。


『凮の橋』

 「渡るまで、しゃべらない」。あまり好きではなかったはずの祖母の声を

 懐かしさとともに思い出す。祖母と黙って橋を渡ったときの記憶の正体は

 何だったのか。


『遠野物語より』

 水野君が連れてきた繁君の話は興味深かった。山人の話である。

 わざわざ二里の回り道をしてでも避けたい山男、山女と

 出会ってしまう場所があるらしい。

 

『柿』

 もらった柿を食ってみると虫が出てきた。それから昔のことを思い出す。

 隣の家にあった柿の木には天辺に朽ちない柿の実があり、

 それがずっと気になっていたのだ。


『空き地のおんな』

 長く惰性で付き合っていた彼氏と大喧嘩をして飛び出した私は

 不動産屋の隣の空き地を見ていた。雑草が生い茂り、周りよりも

 暗い空き地におんながひとり立っている。


『予感』

 谷崎さんは廃屋のような家に住んでいる。家は人が住まないと死ぬのだと

 谷崎さんはいう。だから自分が住んでいるのは家の死骸なのだ。

 幽霊やお化けなど出ない。しかし「予感」がする。


『先輩の話』

 先輩が話し始めた、大好きだったおじさんの話。

 戦死してしまったおじさんとその母、おばあさんの夢。

 遠眼鏡で見るようなぼんやりとした過去の物語。



うすら寒くて、カビ臭くて、

湿気がこもっているような

短編集でした。

この雰囲気は結構好きです。


不条理で

よく分からない展開ですが、

それがかもしだす曖昧さが

またいいですね。


さすがです。


言葉ひとつでぞわっと

してしまうところもありました。


読後の印象は残念ながら薄いですが、

内容を思い出せない厭な夢を

みた朝のような感じがして、

気持ちが悪いです。


装丁も気持ち悪いです。


短編ごとに

ノンブルと短編タイトルが

横向きだったり逆だったり……。


嗚呼、厭だ。

気持ち悪い。


計算づくなんでしょうね、

厭な京極さん。