一気読み: /5
共感: /5
岸本紀子は<永遠>という響きにめっぽう
弱い子どもだった。
永遠に見れない、永遠に聞けない……
(永遠に~できない)と言われると、
紀子は取り返しの付かないロスをしてしまった気になり
焦り、泣いた。
紀子は成長するにしたがい、様々な出来事から
あきらめることを学び、
<永遠>という言葉から開放された。
面白かったです。
なぜ誰もが体験したであろう
日常の小さな出来事の描写に
のめり込んでしまうのかしら……。
と、不思議な作品でした。
主人公の岸本紀子が小学校3年生の頃から
大人になるまでの出来事が順番に語られています。
小学校では、
仲良しグループの微妙な力関係の様子、
誕生日会に「呼ぶ」「呼ばない」ということで揉めたり、
威圧的な教師にクラスで立ち向かったり、
そして幼馴染に淡い恋心を抱いていたことに
気付いたり……。
そして中学、高校、受験、そして家庭内のこと
などなど。
紀子は小さな出来事から
いろいろと学んでいくんですが、
結局結論のあるお話ではないんですね。
自分を振り返って懐かしかったり、
小さな出来事なりに
「どうなっちゃうのかな」というドキドキもあったり、
紀子の成長過程に自分を重ねて共感したり、
結局lさらりと読めてしまいました。
さすが森絵都さんですね。
児童文学もので私にとってハズレなしの
作家さんです。