「死者は還らず」山に登らないことにした | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

死者は還らず―山岳遭難の現実/丸山 直樹

大自然、怖い:涙3涙3涙3涙3 /5

やりきれない:かなしいねかなしいねかなしいね /5



丸山直樹さんの「死者は還らず」を

読みました。


この本は山岳遭難を

取材した著者による

8件の事故のルポタージュです。


実はちょっと冬山で遭難とか

トラウマなんですよね……。


遭難したわけじゃないんですが、

小学校で「生きてこそ」という映画を

見せられまして……。


これは1972年10月、ウルグアイ空軍571便が

アンデス山脈に墜落し、生存者たちが

亡くなった方たちを食べるという選択をし、

生き残るというストーリーです。


まさに生きるということを

真剣に考えさせられる

ノンフィクション映画です。


生きてこそ [DVD]/イーサン・ホーク,ビンセント・スパーノ,ジョッシュ・ハミルトン

もったいないことに、

お子ちゃまだった私には

意味が分からず、恐怖感だけが

トラウマとなって残っています。


それからずっと、ホラーよりも何よりも

遭難モノが怖いのです。



このルポも相当怖かったです。


ひどい凍傷を負う、

豪雪の中のビパーグ(お山にお泊りすること)を

余儀なくされる、

精神的に追い込まれ、パニックになり、

目の前で仲間が動かなくなっていく……。


山岳部のまだ若い学生がパーティごと死に、

定年後の第二の人生を楽しみにしていた

中年男性がひとり孤独に死ぬ。


自然を甘くみている。

自分の実力を把握していなかった。


著者の丸山氏は自らも山を知っているからか

亡くなった遭難者たちに

容赦なく切り込んでいきます。


しかしそうすることで、

これ以上の事故がなくなることを

心から願っているのが感じられます。


巻末に載っていた遺族へのインタビューも

かなりつらい内容でした。


なぜこの本を読んでしまったのか。

トラウマと向き合ったみたのですが、

惨敗です。


お山に登るのが、趣味の方は是非

これを読んで気を引き締めて

いただきたいと思います。


私は山には金輪際

登らないことにしましたので

関係ないですけど。


……トラウマが悪化している。