「生きながら火に焼かれて」文化の違いに無力感 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス N ス 4-1)/スアド

ちよじさんのブログに紹介されていた

「生きながら火に焼かれて」

を読みました。

何年か前に書店にたくさん並んでいるのを

見て読みたいと思っていたのに

忘れていました。



シスヨルダンの小さな村に生まれた

スアドさんは父親に奴隷のように扱われていました。

教育も受けられず、何も知らないまま

当たり前のように働き、失敗すると

ベルトや杖でぶたれるのは日常茶飯事です。


これは彼女のみのことではなく

その村では昔から女は男の

言う事に従うのが慣わしなのです。

結婚も父親が決め、結婚後は夫に

従い、男児を生まなければ捨てられます。


そして家族の名誉を傷つけた

女や不必要に生まれてしまった女児は

殺されてしまいます。


あるときスアドさんは近くに住んでいる

男性に恋をし、婚姻前の性交渉を

持ち妊娠してしまいます。

今この日本では全く珍しいことでは

ありませんが、この村で花嫁は処女で

なければならず、結婚前に妊娠した女は

家の恥になってしまいます。
スアドさんは義兄により薬品をかけられて

生きたまま火を放たれます。

村では「名誉の殺人」といい、

唯一、傷つけられた家の名誉を回復

する方法だということです。



思った以上に衝撃的な内容でした。

火を放たれたスアドさんは叫びながら

庭へ走り出て行ったため救出されましたが、

運よく助けられても病院では治療されず、

死んでいく女達も多いようでした。


スアドさんの救出に携わった方の

手記も載っていますが、文化が

違うためとても苦労されたようでした。

婚姻前性交渉をした女は死ぬのが

当たり前だと思っている人々から

彼女を逃がすため、半ば家族を騙すような形で

ヨーロッパへ連れて行ったようです。


スアドさん自身も死にたいと

思っていたようで、

子どもの頃から置かれている状況

というのは怖いな、と思いました。


それが正しいと信じている人々に

私達の文化を押し付けるのは

身勝手だと思います。

でも女性をモノのように扱う

スアドさんの村の風習はどうにか

改善していけないものでしょうか。


文化や人間の尊厳について

考えさせれくれたいい本でした。

生き残って本として事実を訴えた

スアドさんにこれからも頑張って

欲しいと思います。