「犬はいつも足元にいて」肉が主役 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

犬はいつも足元にいて/大森兄弟

不思議:AAAA /5

人間の醜さが不気味:☆☆☆ /5



大森兄弟の「犬はいつも足元にいて」を読みました。



離婚により母子家庭になった”僕”と母さん、

そして父さんが連れた”犬”との日々。


”犬”は驚くほど、”僕”の心を先読みする。

唯一、千秋公園の”肉”を見に行くこと以外に

自己主張はしない。


学校では仲間編成にあぶれてしまった

”僕”とサダは一緒に給食を食べる。


ある日、散歩途中に出会ったサダが

家についてこようとしたとき、”犬”は

サダに噛み付いた。



不思議な話でした。

いわゆる、ブンガクした感じで

ストーリーとしての明確なオチが

あるわけでもないようです。


なので読み終わった後は

「アレは何だったのか」

「アノ件はどうなったのか」

「どういう意味だったのか」

などなど、疑問はいろいろと残ります。


カバーを見ると

著名な作家さんの選評の抜粋があり


「輪廻的達観を抱いた秀作」

「公園の『肉』という真の主人公を探り当てている」

「この作者は相手がちゃんと見えている」


???


難しい。


しかし公園の「肉」が主人公という件については

確かに。

かなりの存在感と異質なオーラを放っている「肉」

でした。



計算高い”僕”やキレやすい母さん、粘着質なサダ

だらしのない父さん。

目を背けたくなるような醜い人物描写が続き、

「何で?」「どうして?」の連続でしたが、

なぜか先が気になって一気に読めた。


面白い、ということなのでしょうか。
なんとも不思議な感覚です。



この作品は兄弟による共作で書かれた作品らしいです。

しかもメールを使っての執筆だったそうですよ。

新しい試みですね。