切ない: /5
読まされる: /5
嶽本野バラさんの「十四歳の遠距離恋愛」を
読みました。
ロリータファッションに憧れるあまり
トイザらスで買った王冠をかぶり、
丸めた新聞紙で膨らませたスカートをはき、
名古屋の街を闊歩していた中学生の仲葦。
本宮ひろ志の漫画に憧れて、
切れ込みを入れた学生帽に
いつでも柔道着を担いでいる藤森。
ロリータファッションをクラスでバカにされていた
仲葦を藤森がかばったことから
二人の交際は始まり、そしてすぐに離れ離れになった。
名古屋の仲葦と東京へ引っ越した藤森の
遠距離恋愛が始まったのだ。
メインで書かれているジャンルが
あまり好みではないのに
ついつい読んじゃう作家さんは
有川浩さんと嶽本野ばらさんです。
嶽本さんのロリータの話とか
実はよく分からないのですが、
ストーリーがどう進むのかが気になって
ガンガン読まされてちゃいます。
この作品は何年か後の仲葦が
中学生だった頃を語る形でストーリーがすすみます。
時折、「不穏な過去形」があり、
仲葦と藤森の未来がそう明るいものでないことが
すぐに分かってしまいます。
それがどう「明るくない」のかが、
気になって最後まで一気読みという
コースになるわけです。
最後は切なくてちょっぴりビター。
ベタな展開でしたが、
私は好きかも、です。
何はともあれ、強烈だったのは
藤森くんの名古屋弁。
今時、ここまですごいのは
お年寄りの会話でもあまり聞かないですよ。
藤森くんの姿が全然想像できませんでした……。
話し方がもう、ウチのおばあちゃんみたいなんですもの。
本やドラマなんかでも広島弁とか博多弁の男の子は
なんとなく好感が持てるのですが、
名古屋弁ってのはどうして……??
私が名古屋生まれだから……だとは思えないのですが。
そんな強烈な方言も含め、
コミカルな人物描写も面白い作品でした。