「のぼうの城」とにかくみんなのぼう様が大好きらしい | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

のぼうの城/和田 竜

アツい!:ワクワクワクワクワクワクワクワク /5

みんな大好きのぼう様:笑2笑2笑2 /5



和田竜さんの「のぼうの城」を読みました。



豊臣秀吉は天下統一を目指し、北条氏の小田原城を

攻め入る作戦に入る。


支城「忍城(おしじょう)」の城代・成田長親は

百姓からもバカにされ、でくのぼうという意味をこめ、

「のぼう様」と呼ばれるうつけ者だった。


秀吉の軍勢を考えれば、忍城の落城は目に見えている。

忍城は秀吉に降伏を内通し、

北条氏への義理立てのために、秀吉側の石田三成の軍勢と

戦うそぶりだけを見せる。


領民の安全や義理を考えた妥当な策であった。

ところが、三成からの軍使より戦か降伏かを

問われた長親は、その場の誰もが仰天することを口走った。

「戦いまする」



面白かったです。


後半へ行くほどノリノリで軽い感触がします。

そのせいか走り出したら止まらない

読書となりました。


のぼう様は誰からも下に見られて、

バカにされている領主です。

大男でぼんやりと無口、畑仕事が好きなのに、

不器用だから子どもよりも役に立ちません。

迷惑がる百姓たちに畑から追い出されたりしてしまいます。


そんなのぼう様ですが、

本当はみんなからとても愛されているんです。

保護者が子どもを思うような愛なのですが……


いざ戦をすると決めたのぼう様に百姓たちは

笑いながら

「のぼう様が言うならしょうがない」とか

「百姓が助けてやんなきゃどうしょもない」と

手に手に武器を携えて、積極的に集まってくるのです。


さて、勝ち目がないと言われるこの戦はどうなるのか、

というお話です。


のぼう様の人を動かす力が素晴らしい。

読んでいて思わず

のぼう様が好きになってしまいます。


そして武将たちとのやり取りもカッコイイ。

武士というのは、筋を通し、矜持を守ることに

重きを置くようで、戦といっても

殺し合い、という殺伐とした雰囲気ではなかったです。


お互いの力を認めてみたり、

敵といえども天晴れな行為には敬意を払ってみたり。


何だか想像していたものとは雰囲気が

全然違っていましたが、これはこれで

楽しめました。


司馬遼太郎さんとか池波正太郎さんとか

渋ーいのを勝手に想像していました。

かなりライトで読みやすかったです。