「少女七竃と七人の可愛そうな大人」芸術作品のごとく美しい | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭 一樹

美しい:☆☆☆☆☆☆☆☆ /5

切ない:かなしいねかなしいねかなしいねかなしいね /5



桜庭一樹さんの「少女七竃と七人の可愛そうな大人」を

読みました。

以前桜庭さんの「青年のための読書クラブ 」を読んだ際に、

ジュードさんから頂いたコメントにタイトルが出ていて、

読みたくなりました。



七竃は異形のごとく美しいかんばせを持っていた。

母親がいんらんだからだと、同じく美しい親友雪風は言った。


七竃の父親は誰とも知れない。

いんらんな母は40歳を前にして未だいんらんで

家に帰って来ない。

祖父と引退した警察犬ビショップ、美しい親友雪風と

旭川の狭い世界で、その美貌のために息苦しい

思いをしながら暮らす。


やがて七竃は雪風に特別な想いを抱いていることに

気付き始めるが……



よかったです。

とりあえず、すごくきれいなんです。


美少年、美少女が登場するからというのも確かに

そうなんですが、その舞台が木々や花、実、

雪など自然のものの色彩がさりげなく美しい。

絵画のような作品なのです。


そして人の会話や行動もどことなく

演劇めいていて、「作品を観賞している」という

気分にさせられます。


そしてそして、とても切ない。

七竃と雪風の叶わぬ想い、七竃の母に対する想い、

なんとも悲しいです。

「七竃」

「雪風」

と、何度も呼び合う声が胸にせまるのです。



(ネタバレ↓)


兄妹と知らずに恋に落ちてしまうという

設定はそのままならとても陳腐に思えますが、

この作品では全くそう感じなかったです。


独特の世界観があって、そちらに目を奪われてしまう

からなんでしょうか。

結構序盤から二人が兄妹である可能性は示唆されている

のですが、「ああ、この展開か」という

うんざりした気分にはならず読み進められました。



これは芸術作品ですね。

おもしろかったです。

ジュードさん、ありがとうございました。