「おこう紅絵暦」だましゑシリーズ第二弾 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

おこう紅絵暦 (文春文庫)/高橋 克彦

あっさり読みやすい:GOODGOODGOOD /5

人情:かなしいねかなしいねかなしいねかなしいね /5



高橋克彦さんの「おこう紅絵暦」を読みました。



『願い鈴』

 人殺しの疑いで引き立てられたのはおこうもよく知っている

 12歳のお鈴であった。里子に出されながらも母を恨むことも

 しない娘に何があったのか。


『神懸かり』

 札付きの乱暴モノであり3年前に飛び出していった鏡平が

 母おそのの元に戻ってきた。ところが記憶をすっかり失い、

 15歳の頃あたりまでしか思い出せない。


『猫清』

 彫師の猫清が首吊りで自害した。そのため飼っていた

 十匹以上の猫が餓死寸前になってしまう。

 おこうたちは猫たちをもらいうけようとするが。

 

『ばくれん』

 おこうがばくれんであったときの仲間お信から

 お秋が義母殺しの疑いをかけられているということをきく。

 おこうはなぜ疑いがかかったの調べ始める。


『迷い道』

 おこうの義父左門はすっかり生きる気力を失って王子まで

 気晴らしの旅に出ていた。おこうはそんな義父を訊ねるが、

 そこで左門は誰かを探しているような素振りを見せる。


『人喰い』

 以前世話になっていたお光が熱を出したと聞き、見舞いへ行く

 おこう。お光が体調を崩した理由は鬼が現れ、無残な死体を

 見てしまったからだと知らされる。


『退屈連』

 芝居を打って人に取り入り、盗みを働くという盗賊・芝居組は

 7件、8件の盗みを働いていた。春朗が仕入れてきた不思議な

 話も芝居組による芝居ではないかと一之進は睨んだ。


『熊娘』

 菊弥が浅草の見世物小屋で見た大女の話を聞いて、

 おこうはぎょっとなった。知っている娘であるかもしれないのだ。

 早速菊弥に様子を見に行ってもらうが。


『片腕』

 両国橋の橋下に顔を潰されて左腕を切り落とされた死体が

 見つかった。噂では盗賊”人形の小次郎”ではないかと言われている。

 そして小次郎の相棒であった丑太郎に嫌疑がかけられる。


『耳打ち』

 おこうとお鈴は滝太郎が大役を演じる芝居に招待された。

 釣竿を使った変わった演出に盛り上がるが、

 おこうは一人首を傾げていた。


『一人心中』

 探していたお鈴の母親だと思われる人物が見つかった。

 おもとという女で暮らしぶりは悪くないはずなのに、

 お鈴の事はまったく知らぬふりをする。何か裏があるようだった。


『古傷』

 鏡平が晴れて自由の身になった。牢の中で知り合った

 秋太郎という男を助けてくれとおこうに訴えるが、

 おこうはかつて男と女の関係であった秋太郎がどうしても信用できない。



だましゑシリーズ第二弾です。


第一弾の最後で同心だった仙波一之進は

北町奉行所吟味方筆頭与力に昇進して、

芸者だったおこうと祝言を挙げました。


第一弾で主役だった仙波さんは仕事に大忙しでほとんど登場せず、

嫁のおこうと舅の左門、そして絵師の春朗が探偵役となり

持ち込まれた難題を解決する連作短編集です。


一話、一話のテンポがよくて読みやすいです。

しかしちょっとあっさりしすぎているような感もあります。


そしてどんどん仙波さんの家に人やら猫やらが増えて

いきます。

話をおうごとに役者や職人やら大女やら仲間も増えていきます。


悲しい事件や悲惨な事件がほとんどなのですが、

それを通して信頼できる人が増えていくので

全体的にはかなり前向きなお話かと思います。


第一弾から思っていましたが、絵師の春朗(後の葛飾北斎)は

呼び出せばいつでもすぐにやってくるのですごく暇そうです。