ちょっと変わった兄弟愛: /5
大阪弁・大阪ノリ炸裂: /5
瀬尾まいこさんの「戸村飯店青春100連発」を読みました。
地元に愛される戸村飯店には
あまり仲がよくない兄弟がいた。
兄・ヘイスケは文才があって要領がいいが、
店の手伝いはせず、周りに馴染んでいない。
弟・コウスケは誰からも愛されるお調子者で、
店の仕事も板についてきていた。
もともとほとんど口をきかない兄弟だったが
兄・ヘイスケが東京の専門学校へ行ってから、
戸村飯店は少しさみしくなってしまう。
この話どこかで読んだことがあると思ったら、
アンソロジーの「Re-born 」に収録されていた
「ゴーストライター」という短編を加筆修正し、続きを
書いた作品のようでした。
こんな作品の誕生の仕方もあるんですね。
短編の方では兄・ヘイスケが東京へ行ってしまうまでの
話でしたが、この作品ではそれからの戸村兄弟の
1年間の様子が描かれていました。
遠く離れた場所で兄弟がそれぞれの恋や進路に苦悩する様子は
「青春100連発」というのにふさわしい感じです。
ただ量の割りに軽いです。
読みやすいともいうのかもしれませんが、
読後感があっさりしすぎていてちょっと物足らない。
大阪弁とか文章のノリは面白かったです。
弟・コウスケの視点から見るとクールに
見える兄・ヘイスケも一人称になると意外と抜けていたり、
笑える事を考えていたりします。
この視点が変わることで浮き彫りになる
兄弟の認識の違いも見どころかと思います。
兄・ヘイスケがやたらと”東京ばな奈”の話題を出すので
食べたくなりました……