「ユーモレスク」もの悲しい | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ユーモレスク/長野 まゆみ

切なさ:かなしいねかなしいねかなしいね /5

ステキな男性描写:食食食食 /5

恋愛:BL2BL2 /5



長野まゆみさんの「ユーモレスク」を読みました。



隣人の比和さんのお宅で不幸があった。

長女で教員だったすみれさんが

小さな子どもを残して亡くなったのだ。


”わたし”が小学生の頃、下校時にきこえていた

「ユーモレスク」はかすみさんが弾いていた。


”わたし”の家と比和さんの家は生活の音が

聞こえるくらいに近くに住んでいるのに、

あまり交流がない。


それは”わたし”の弟の真哉が遠足で

行方不明になって以来ギクシャクし始めたのだ。



けっこう切ないお話でした。


”わたし”と同い年の比和くん、

そして絵に描いたようなお嬢様のすみれさん、

と鼻持ちならないと近所で有名だったお上品な母親、

そして父親の比和さん一家、そして

”わたし”の家は両親と弟の4人家族だった。


弟の真哉は比和くんと仲がよくて、

ピアノの「ユーモレスク」が好き、女の子の着るような

キレイな服や派手な服に興味津々だった。

しかし小学生の頃に行方不明になり、

6年が過ぎている。


比和くんと”わたし”と真哉、

そして真哉が行方不明にならなかったら

同い年であろう高校生の副嶋和(そえじまたかし)の

物語です。


人間関係が結構複雑でしたが、

弟を思い出す”わたし”の一家の様子や、

実は仲良しだった比和くんとの過去の様子が

なんとも物悲しい。


やはり男の子同士の恋愛の要素もあって、

副嶋くんが比和くんを一途に想っていたりします。


不思議なんですが、長野作品を読んでいると

主役クラスの男の子に

「女の子なんかと付き合うな!」

という気分になるのは、これ長野マジックですか?



そして百貨店の紳士服売り場に勤めている

”わたし”や先輩の”三ノ宮”さんのいい男を見る

観察眼や服装チェックがすごい。


ステキな服装を見事に描写しています。

目に浮かぶようです……


長野さんって服飾関係のお仕事でも

されていたんでしょうか。

女の子の服ももちろんすごくキレイで詳しい描写を

されるんですよね。


何だかお洋服の勉強になります。