遠恋中に浮気?: /5
雨、華、お茶の描写: /5
バステトさんお薦め、長野まゆみさんの凛一シリーズ
第2作目「碧空」を読みました。
凛一は写真の現像をしようと
現像室にこもっていた。
そこに凛一より1級上の3年生・有沢改が
やってきて初対面である凛一にアレコレと
勝手にアドバイスしたり立ち入った質問をしたり……
そして写真のモデルにならないか、とまで
誘われる。
少しためらったが凛一はそれを受けてしまう。
第1作目「白昼堂々 」を昨日読みましたが、
今日は第2作目です。
とある流派の華道家元の後継者・凛一くんが
恋や進路で悩んだりするお話。
第2作目は凛一の前に有沢改という謎の青年が現れて
凛一は大いに惑わされます。
それが遠因となって京都の大学に通っている
想い人・氷川との仲も危うくなったりして
これはもう完全にドキドキ、ハラハラの恋愛ストーリーでした。
周りの状況も変わっていきます。
兄と慕う千尋が結婚したり、祖母の体調に
不安が出てきたり……
そんな状況でも作中の描写は相変わらず
キレイです。
特に気に入ったシーンは凛一の従弟・正午(まひる)が
家出をし、急に凛一を訊ねてきた夜のシーン。
いさかいをした2人は気分を変えようと
真夜中に雨の音を聞きながら蚊遣りの火が照らす部屋で
お抹茶を点てるのですが、その音を中心にした描写が
何ともステキな感じなのですよ。
気分を変えようとお抹茶を頂く、凡人にはないなー
その発想。さすが家元の孫。
最後にはちょっと安心できる結末もあって
第2作目も楽しませてもらいました。
次も楽しみです。