「十二の嘘と十二の真実」全部で24+1 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

十二の嘘と十二の真実/あさの あつこ

怖い童話:いるよいるよいるよいるよ /5

グロさ:スプラッタスプラッタスプラッタ /5

意外と好きかも:かんどーかんどーかんどー /5


かおりさんのブログで拝見しました。

あさのあつこさんの「十二の嘘と十二の真実」を読みました。



餓えて死んだ幼い末娘の名は皮肉なことに

千年も生きるという鳥の名と同じ「ツル」だった。


皇子を産み落としたばかりのとある国の王妃が

目をかけていた侍女は「ツル」という変わった名だった。

ツルの進言で国王の愛人が子を孕んだと知った

王妃は狂わんばかりに怒り焼き殺してしまう。



時代も場所も分からないある国の王妃の物語と

現代のおしゃべりな老婆の独白が交互に

12ずつはさまっているという構成になっています。

全部で24、最後に1話「崖の上」という短編が入っていました。


以前読んだ「ぬばたま 」に近いホラー童話という

印象です。


王妃の話はすべて繋がっていて、侍女のツルの言葉に

操られるように道を外していってしまいます。


そして間に挟まる「現代の老婆の話」は連作短編調で

毎度ゾっとするオチがついています。

口語体なのでおばあちゃんに語りかけられて

いるようでゾワゾワ(>_<)

稲川淳二??


まったく関係なさそうな二つの物語ですが、

最後で繋がってきます。


こういう話結構好きです。

あさのあつこさんって「民俗学」や「昔の童話」という分野が

やはりお得意なのかしら。


水辺には東洋、西洋を問わずオバケみたいなものが

いっぱいいたりすると聞いたことがあります。

この物語では「ちゃぽちゃぽ」という水音が効果的に

入っていて恐怖心があおられました。


人間はたくさんの水を体内に持っているし、

水とのかかわりが深い。

だからでしょうか、どこからか聞こえる水音というのが

なんか分からないけど怖い、と思えるのは。


でも一番怖いものは……

何でしょうね。物語の中で語られていますので

ネタばれになるかもしれません、黙ってます(笑)


「崖の上」という短編も作品のテーマは

ちょっと繋がっているように思えました。

悲しい物語です。