「むかしのはなし」未来から見たらむかし | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

むかしのはなし/三浦 しをん

読みやすい:GOODGOODGOODGOOD /5

切ない:かなしいねかなしいね /5

この設定、どこかで:驚驚驚 /5

以前「月魚」を読んだ際、maro-mobさんのコメント中にて

タイトルを拝見し興味がわきました☆

三浦しをんさん「むかしのはなし」を読みました。



『ラブレス』(かぐや姫)

 祖父も父も27歳で死んだ。そんな呪われた家系の俺も27歳になった。

 何事もなかった数ヶ月、そして今最期になるだろうメールをうっている。


『ロケットの思い出』(花咲か爺)

 俺が子どもの頃に溺れかけながらも助けた子犬ロケットの話を

 しよう。どうせ型どおりにまとめられちゃうんだろうけど……


『ディスタンス』(天女の羽衣)

 鉄八はパパの弟であたしの大好きな人。あたしと鉄八の

 秘密がバレてしまい、二人は引き離されることになってしまう。


『入江は緑』(浦島太郎)

 ぼくが暮らす入江の舟屋はよその人から見るととても珍しいもの

 らしい。舟屋のある暮らしを日記にしたため始める事にする。


『たどりつくまで』(鉢かつぎ)

 まもなく隕石が落ちてしまうため閑散としている街に働く

 私は夜のシフトでタクシーに不思議な客を乗せてしまう。


『花』(猿婿入り)

 私は元彼氏の浅田くんにふられてしまった後、何故かその友人で

 花の開発をしている男と半ば騙されるように結婚してしまう。


『懐かしき川べりの町の物語せよ』(桃太郎)

 神保百助はクラスメートから恐れられていた。ヤクザの息子で

 拳銃を持ってるとか鑑別所送りになった等々、おかしな噂ばかりだ。



短編になっていたせいかかなり読みやすかったです。

三浦さんの短編は初めてですが、こんな話も書くんだ、と

楽しませてもらいました。


「連作短編」と言ってしまうほど連作もしてないのですが、

どうやらすべての短編の舞台につながりがあるようです。


3ヵ月後に地球に隕石が激突するという情報が一斉に

流され、その前後の物語、みたいです。

しかし一切そのことに触れていない短編もあればそこが

メインになっている短編もあり、とその設定が重視される

割合はまちまちだったりします。


すべての短編に前に「昔話」の要約が入っていて、

その昔話をテーマにしたような短編が展開されている、

という趣向も面白いですね。


お気に入りはあまり舞台設定が関係ないけど

『ロケットの思い出』でしょうか。犬が出てくるところが

気に入りました(笑)

三浦さんらしい雰囲気も出ています。


ちょっと最期の『懐かしい川べり~』は長く感じました。


そうそうこの舞台設定が他の本で読んだのに似てるって

いったらやっぱり野暮ですよね……

設定だけは似てるけど中身は完全に三浦さん色でした。


終末のフール/伊坂 幸太郎