「左近の桜」寛大な主人公 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

左近の桜/長野 まゆみ

独特の世界観:BL2BL2BL2BL2 /5

キレイな描写:納得納得納得納得納得 /5



長野まゆみさんの「左近の桜」を読みました。


16歳の桜蔵(さくら)は駅前で懐提灯をともし、

印半纏をはおり客を待っていた。


彼は贔屓すじだけを相手にする連れ込み宿の

「左近」家の息子だ。

駅へ初めての客を迎えに行ったり、

女将や番頭が留守のときは客をもてなすこともする。


桜蔵は謎の多い父親・柾(まさき)、常連客・浜尾、

小学校を出たばかりの弟・千菊(ちあき)や一級上の

「キスをする仲」の女の子・真也、

酒を飲むと豹変する怪しい居候教師・羽ノ浦などに

囲まれつつ、頻繁に人間ではないあやしい男を

拾ってきてしまう。



これをBL(男性同士の恋愛)モノと言ってしまうのは

なんだか乱暴な気がする、と思った作品でした。

左近の宿の庭などの自然の描写、人物描写が

とても妖しくて綺麗なんです。


長野さんなのでもちろん男の人同士で何かあるのが

当たり前の世界なのですが、今回主人公の桜蔵には

ちゃんと「彼女」っぽい女の子がいます。


彼自身は自分が男の人が好きとかいう感覚は

持っていないつもりでもいろいろと「人間でない男達」が

集まってきてしまう。

でも「断固拒否」でもない(笑)


何となくですが、梨木果歩さんの「家守奇譚」を思い出しました。

レビュー書いていないのでリンクできませんが、

こちらは純粋に(BL的な意味でなく(笑))

人間じゃないものに囲まれてしまう主人公の

ほのぼの系の物語です。

描写が古風で「ザ・日本家屋」という家に住んでて、

植物や日本の季節感などが綺麗に描かれているというあたりから

の連想でしょうか。


そして両作品ともに主人公がどこまでもおおらかだ(笑)

何でも受け入れますね、あたなたち……。