内臓が……: /5
ミステリ: /5
お久しぶりかも。
乙一さんの作品です。
読んだ気がしていましたが、読んでなかった「暗黒童話」
読みました。
白木菜深は左目を失い、そのショックで記憶まで
失ってしまった。
母親や友人から聞かされる優等生で人気者だったという
自分の話は他人事のようだ。
不器用で以前の「白木菜深」とは違う自分に対する
周りの苛立ちや失望を受けて彼女は孤立していく。
左目の移植手術を受けた菜深だったが、
移植した左目が時折熱く脈打ち違う映像を映し出すことに
気付く。
それは左目の元の持ち主の見た「記憶」だった。
何だか壮絶な感じでした。
グロい、というかここまでやるとそれを通り越して
人体だという感じがしない(笑)
菜深は左目の記憶をたどってある事件の真相を
調べるというちょっとしたホラー&ミステリといった感じです。
移植された左目から情報を得て提供者の周りの
人間と接触して捜査するというのはなかなか面白い趣向でした。
しかしミステリとしては……どうでしょうね。
伏線があっていちよう意外なラストが用意されていたのですが、
何だかあまりビックリさせられなかったです。
それよりも人体からいろいろ切り取ったり組み立てたりしてる
不思議な描写が気になって(^^;)
何だかあまり好みの話ではなかったというのが
正直なところかも……
「暗黒童話」というタイトルの童話が作中作という形をとって
出てくるのですが、この話は乙一さんらしい
ブラックな童話でけっこう好きです。
童話仕立てになっているので非現実感も気にならず、
ちょっと切ないラストもあり、
と本編より気に入ってしまいました。