「あやつられ文楽鑑賞」ノリノリです | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

あやつられ文楽鑑賞/三浦 しをん

笑:ウケるウケるウケるウケる /5

勉強になるなぁ:納得納得納得納得 /5



三浦しをんさんの「仏果を得ず」 を読んで興味を

持ち「文楽」の世界について書かれたエッセイ

「あやつられ文楽鑑賞」を読みました。



これ本は文楽(人形浄瑠璃)にすっかりハマってしっまって

いる三浦さんが太夫さん(文楽を語る人)や三味線、

人形さん(人形を操る人、3人で1体の人形を遣う)への

インタビューや自身の解釈を含めた分かりやすい

ストーリー紹介など満載の一冊です。


国語だか、社会科の便覧で見たくらいの知識しかない

私にはありがたい本でした。


「仏果を得ず」で出てきた文楽のストーリーもこちらで

さらに深く説明されています。

さすが作家さんというべきか、やわらかーく噛み砕き、

さらに笑いの要素まで含めての解説です。


昔の物語になるので今とは価値観が違ったりする

わけでそこに三浦さんの痛烈なツッコミが炸裂します。



以下は『仮名手本忠臣蔵』にて「おかる」という女性のカレシ(勘平)が

仇討ちに参加するためのお金が必要でそれを知った「おかる」

の両親が「おかる」自身を遊郭に売って金をつくる、という

驚きの展開に対してのツッコミ引用であります。


ほっっんとうに驚きの思考回路である。

「娘の男は遠慮しているようだから、親のわしが先手を打って

娘を売る!」ってどこをどうしたらそういうことを思いつくのか。

(略)

ところが、勘平のリアクションも観客の意表をつく。

「ハ、これはこれはまづ以って舅殿の心遣い忝い(かたじけない)」

「かたじけない」じゃないっつうのー!!!


万事こんなノリで解説してくれます。

これで分からない、つまらない、なんて言えません(笑)

おもしろすぎます……


これって伝統芸能ってヤツでしたよね(^^;)?

何だ、全然大丈夫そうだ、と思ってしまう。


さらに自身の観劇中に居眠りをしたという

告白(なんでも上手い太夫さんほど眠いそうですよ)や

アイドルを追いかけるように役者さんにキャーキャー

言っていたりととにかく「文楽」の敷居を1メートルくらい

低くしてくれました。


このストーリー解説をふまえもう一回「仏果――」を

読みたいなぁと思ったり。