「逝年」Call boy2 娼夫の彼、その後 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

逝年―Call boy〈2〉/石田 衣良

石田衣良さん「逝年」を読みました。


以前読んだ「娼年」 の続編です。



女性向け売春クラブ「クラブ・パッション」の

オーナー御堂静香が逮捕された後、リョウ、アズマ、咲良は

密かにクラブの再建を目指して準備をしていた。


そして御堂静香逮捕から一年、とうとう新しい事務所を

構え営業がスタートしたのだ。

かつての「クラブ・パッション」のナンバーワンと

ナンバーツー、御堂静香の片腕だった咲良により

クラブは順調なすべりだしを見せた。

新しい「クラブ・パッション」ではリョウは娼夫をしながらマネジメントも

手がけ、初めて娼夫として性同一性障害のアユムをスカウトする。

女性の欲望に興味を示し満たすことに喜びを感じるリョウ、

御堂静香を逮捕に追い込んだメグミ、

HIVに感染し出所を待つ御堂静香のその後が描かれる。



おもしろかったです(^^)

前作は何だかいやらしいシーンのために

状況や設定を作りこんである印象を受けたんですが、

今回は何だかそんなシーンよりも登場人物の心境とかを大切にしている

感じがしました。


リョウとアヅマと咲良の関係が石田さんお得意のストリートっぽい

仲間意識を感じます。

協力してひとつの目的を成し遂げるという若者達が眩しいですね(´▽`)

「裏」っぽいこと成し遂げようとしてますが……


とはいえリョウにとってはやりがいである仕事ですからね。

たまたま人には大声で言えない仕事が天職だったんでしょう。

アヅマも人とは違う快感の感じ方をするという特性を

持っていますし、今回初登場した性同一性障害のアユムも

少数派ですね。


でもその特性が女性を喜ばせるという点で大いに発揮される

わけです

「クラブ・パッション」でのそれぞれの個性をいかした働きぶりが

見所でした。


リョウも相変わらず淡々としてますが、

母親のように慕っていた御堂静香の不在で

かなり成長し安心して読めます。


でも少し違和感を感じた点がありました。

御堂静香をムショ送りにしたメグミという女の子は前作でかなりの

悪役を演じていたのですが、

今回その挽回ぶりがちょっと納得できなかったかも(^^;)


悪役ならそのまま悪役に徹してくれた方がよかったかな……

何だかちょっと拍子抜けした。


これはまだもうちょっと続きがあってもおもしろそうなんですが、

どうでしょうね(^▽^)