「仏果を得ず」カワイイ30歳 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

仏果を得ず/三浦 しをん

三浦しをんさんの「仏果を得ず」を読みました。

人気なのでしょうか、6月くらいからずっと図書館に予約して

待っていました。やっと来た……(^^;)



「おまはん、六月から兎一郎と組みぃ」

18才の頃から文楽の道を志している若手太夫の健は

師匠の銀太夫から言いわたされる。


健は楽屋に通うも兎一郎をつかまえ稽古をすることが

できないでいた。

兎一郎は無口で稽古中も無駄口をきかず、

食堂で大量のプリンを食べているのを目撃されている。

三味線の実力があっても変人だともっぱらの噂だ。


健は稽古を先延ばしにしてしまいとうとう銀太夫に

呼び出されてしまう。

そして兎一郎からは特定の太夫と組むつもりはないと

冷たく言い放たれる。


文楽指導のボランティアで通っている小学校では

熱心に義太夫を語るミラちゃんという女の子と親しくしていた。

楽屋に遊びに来ていたミラちゃんを家に送ったときに

健はミラちゃんの母親に一目惚れしてしまう。


文楽に賭ける健が芸に悩んだり、恋に悩んだり、と

大忙しの青春物語。



また新しい世界を垣間見てしまいました。

文楽……

国語便覧の写真でしか見たことないわ。


全く知らないといっても差し支えないレベルですが、

そんな私でも十分ついていける内容です。


どうやら人形が舞台で舞って、そのセリフや状況を三味線の音と

共に太夫が読み上げるという芸能らしい。

飽くまでも私がこの本を読んでそうなんだろうと思った

予測の範疇ですが(^^;)


人形は好きです。

田舎の祭りで初めて見た山車の上のからくり人形の男の子に

一目惚れして追っかけまわしたイタイ思い出があります。

山車ってドコに行くのかよく分からないんでなかなか

大変なんですよね……


この話では人形はあまり出てきません(^^;)

健が太夫の道を目指しているのでその役どころが

クローズアップされています。


そしてどうやら太夫は三味線とコンビを組むのが通例らしいです。

バッテリー相三味線といって作中では健のことを兎一郎が相方として

認めるかどうか、というところも物語のポイントになってました(^^)


そして恋愛の要素もあるのですが、健ってどうも30歳くらいの

「お兄さん」で私より年上っぽいのですが、

妙にカワイイ(笑)


文楽の世界ではまだまだ若手なのでまわりからそう扱われてる

のもあるんでしょうが、恋愛に対しても

真っ直ぐで初々しい感じがします。


何かあるとすぐに「ええー!」という口癖も子どもっぽくて

カワイイ。

うーん、年下にしか見えなかった(笑)

私の感覚では20歳くらい(^^;)


健は13年この道をすすんでまだまだ若手で、

60才を過ぎてからようやく本番だと健の師匠である

銀太夫が言ってました。


60から本番か、本当に奥深い。

でも目指すものが遠いってやりがいがあるんだろうな。

60で定年より60から本番の方がなんか、いい。


おもしろかったです、続編あるといいな……