「優しい音楽」優しいお話 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

優しい音楽/瀬尾 まいこ

アンソロジー本で出会った作家さん、瀬尾さんの

「優しい音楽」を読みました。

短編より少し長めのお話が3編ありました。



恋人の千波は「僕」が家に行くことをとても嫌がる。

「僕」がご両親に挨拶をしたいと言っても

全然気が乗らない様子だ。


千波が嫌がる理由は?

ちょっと変わった二人の出会いにもそれは関係していた。

             (表題作『優しい音楽』より)


『タイムラグ』

 平太との付き合いは不倫だった。しかも「私」はまったくもって

 都合の良い女だった。

 平太が奥さんのサツキさんと旅行に行く間、娘の佐菜ちゃんを

 預かって欲しいと頼まれ断れなかったのだ。

 そして当日一人で玄関の前に立っていた佐菜ちゃんは行儀正しい

 とてもいい子で……

 不倫関係の恋人の娘と過す24時間の物語。


『がらくた効果』

 「拾ってきちゃった」

 好奇心旺盛な同棲中の恋人はな子がそういって見せたのは

 猫でも犬でもなく佐々木さんというホームレスのおじさんだった。

 章太郎とはな子と佐々木さんのちょっと変わった年末年始。

 果たして佐々木さんは何者でいつまで一緒に暮らすのか。



全体的に雰囲気が似通っていて1話1話の印象が弱かった気がします。

つまらなかったわけじゃないんですが、記憶に残らない感じです。

身近な人たちとの絆などをテーマにしているのは前回よんだ「卵の緒」

ともちょっと似てました。


物語はとても温かみがあって良かったです。

とても優しい気持ちになれます。特に『タイムラグ』はあまりに

寛大な深雪さんにちょっとびっくりします。

不倫している男の娘です、預かるんですか……(笑)

そしてその子、佐菜がいい子だこと。

ありえない状況なのに自然にいい雰囲気になっていく二人。


悪意というものを気配すら感じません。

読んでいると穏やかな気分になると共に

「これは現実にないなぁ」と思ってしまうさみしい自分を

発見してしまいます(^^;)


そして何故でしょう、瀬尾さんの描く女性に何となく受け入れがたい人が

たまにいます。

前回の「卵の緒」では母親の女性が好きになれませんでしたが、

今回は『がらくた効果』のはな子が何となく好きになれない、

共感できない(^^;)

おじさんを拾ったらダメでしょう。

不思議ちゃんにも程が…・・・(0_0;)


なんて文句言ってみるんですが、

なかなかさらっと読めてよかったです。