「卵の緒」表題作よりも | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

卵の緒/瀬尾 まいこ

この間読んだ「Re-born」 というアンソロジー本で

「ゴーストライター」という作品を書いていました、

瀬尾まいこさんの「卵の緒」です。

第7回坊ちゃん文学大賞受賞作品とのこと。



「僕は捨て子なの?」

自分の出自が気になる育生は周りの

大人たちの反応から自分が母親の本当の子どもで

ないかもしれないと思っていた。

ある日学校で「へその緒」の話を聞いた育生は

母親に「へその緒」を見せて欲しいと頼む。

しかし渡された箱に入っていたのは卵の殻だった。

          

                (表題作『卵の緒』より)

『7’s blood』

高校生の七子と小学生の七生は腹違いの

姉弟だ。

しかし七生は亡き父親の愛人の子で

何故母親が積極的に七生を引き取ったのか

分からない。

七子はこのかわいがられ上手で器用な弟を

好きになれずにいた。

そんなとき急に母親が入院することになる。


表題作よりも一緒に収録されている『7's blood』の

方が好きです。

何故か分かりませんが、『卵の緒』に出てくる

育生の母親が好きになれない。


好人物に書かれているのは分かる、

けどちょっとわざとらしいのが……鼻に付く??

真剣に悩んでいる育生に卵の殻を渡して

笑顔の母親、ちょっとヒドイ(笑)


読んでいるうちに育生に対する猛烈な愛情は

伝わってきますが、そこまで来てもやっぱり

この母、好きになれない(^^;)


そんなわけですが『7’s blood』は結構好きでした。

『卵の緒』と何となく設定やテーマが

近いように感じましたが、

こちらは姉弟の絆がメインです。


始めは弟の事を好きになれない七子と

子どもらしさをあまり見せない

世渡り上手な七生の歩み寄りが描かれていて、

王道ストーリーといえなくもないですが、

よかったです。


瀬尾まいこさんの本はもうちょっと読んで

みようと思いました。