「散りしかたみに」始めはあまりに小さな事件 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。



最近「タルト・タタンの夢」ですっかり気になる作家さん

になった近藤史恵さんの「散りしかたみに」を

読んでみました。



花びらがひとひら落ちてくる。

事件はたったそれだけだ。


たったひとひら必ず舞台の最中に落ちる花びらについて

女形の小菊は師匠に命じられて、友人である探偵・今泉の

もとへ依頼に行くことに。


ところが調査の最中、楽屋で謎の美女に遭遇した今泉は

蒼白な顔でこう言った。

「悪いけど、小菊。さっきの話、ぼくは下りるよ」



「タルト・タタンの夢」のときも思いましたが、すごく読みやすい。

何故かは不明ですが(^^;)すいすい読めます。

この話は歌舞伎の舞台での小さな事件が発端となっているので、

たまに歌舞伎のセリフや舞台装置、役者、師匠と弟子など

業界話が出てくるのですがそれでも読みやすさは変わらず。

逆に歌舞伎という私はあまり知らない世界のことを

勉強させていただいた感じです。


探偵が出てきますが、ところどころ「前回の事件」という

意味深な言葉が……

まさかまた私探偵のシリーズものを途中から読んでいる(0_0)

でもこれの前作がどれか分からない(>_<)


探偵ももったいぶり上手で最後まで引っ張ってくれます。

このもったいぶりは京極夏彦さんの京極堂シリーズの古本屋を

彷彿とさせます。

何せ理由も言わず、意味深に青ざめたりして

”調査は下りる”、”深入りするな”って

気になるじゃないか(>_<)


探偵事務所のメンバーもいいメンバーがそろってました。

といっても助手の青年山本くんと犬のハチです。

「タルト・タタン……」のときも思ったけど、

いいなぁと思える人物たちの集まっている空間や雰囲気を

書くのが上手いなぁと思いました。


残念な点はちょっと歌舞伎関係の登場人物がごっちゃりしてて

誰が誰だったか混乱しちゃったところかな。

視点も動いて、ちょっと叙述トリック的なところもあったので

それは仕方がないのかもしれませんが(^^;)


前作が見つかった読んでみたいです☆