「タルト・タタンの夢」いい本だ | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)/近藤 史恵

カミジさんを初めたくさんの方が読まれていました、

「タルト・タタンの夢」をようやく読めました。

料理+物語って好みのストライクゾーンのひとつです。



小さなフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル」は

サムライのような出で立ちの料理長の三舟と接客上手な

シェフ志村、俳句が趣味のソムリエ金子さん、そして

新米ギャルソンの高築、たったの四人できりもりしている。


そんな家庭的な店であるせいか、お客さんのちょっとした

話を聞く機会も多い。中にはどうしても分からない小さな

事件の話も……

無口な三舟は料理の知識からか人生経経験からなのか

7つの謎を鮮やかに解き明かす。


「タルト・タタンの夢」、「ロニョン・ド・ヴォーの決意」

「ガレット・デ・ロワの秘密」、「オッソ・イラティをめぐる不和」

「理不尽な酔っ払い」、「ぬけがらのカスレ」

「割り切れないチョコレート」の7編から成る連作です。



あー、いいものを読みました。

これはかなりお気に入りの部類です。

雰囲気がすごく好きです。


小さな店、おいしい食事、小さな事件、

ちょっと幸せな結末……心がほっとあったかくなる物語でした。


そして四人のスタッフ達も個性があって

面白かった。

話の舞台がほぼ店の中なので現実の

生々しい感じがせずにどこか異国のような雰囲気を

持っています。


フランスのリヨンで入ったビストロを思い出しました。

長い時間何も食べずにいたので何となく入った店

だったのですが、地元の人御用達と言った感じの店で

英語のメニューもなくてギャルソンもフランス語でした。


英語しか分からないというと、ギャルソンが

「苦手だけどがんばるよ」と言ってくれて

一生懸命料理の説明をしてくれました。

英語は面倒臭いはずなのにあれやこれやと

世話をしてくれ、世間話も付き合ってくれました。

おいしい料理と楽しい時間をいただいた店でした。


この本のビストロもまさにそんな感じ。

ちょっとサービスが現実的じゃない感じも

しますが(お店の利益という点で(^^;))

お客を大事にしている優しい雰囲気が

漂っています。


三舟さんの料理知識の話も面白かった。

料理とちょっとミステリ、

これは本棚に並べたい本です