「顔に降りかかる雨」とうとう読めた | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

顔に降りかかる雨 (講談社文庫)/桐野 夏生

前回間違って先に読んでしまった「ローズガーデン」 ……

女探偵・村野ミロのシリーズ第一作「顔に降りかかる雨」を

とうとう読みました。



深夜の電話、それを無視して眠っていた。

村野ミロが嫌な夢を見て目を覚ますと、友人の耀子の

恋人である成瀬から電話がかかってきた。

耀子が大金と共に行方不明になり最後に電話をしたのが

村野ミロの部屋だったというのだ。

深夜の電話は耀子からだったのだ。


大金はヤクザ絡みの金で成瀬とミロは1週間の

猶予を与えられ捜索にあたるハメになる。

成瀬は耀子が最後に連絡したミロを疑っている。

ヤクザ達もどうやらミロを胡散臭く感じているようだ。

耀子と金が見つからなければ濡れ衣でヒドイ目に

会うのは必至だった。

果たして耀子はどこに、何故、姿をくらませたのか。



面白かった。

だから余計に先に短編を読んだ事を後悔(^^;)

村野ミロの父や夫であった博夫のことをなど、

先にこちらから読んでいればもっと驚いて読めたのになぁ。

残念ですが、今さらですね。


話が逸れましたが、この本、探偵モノとしては

なかなかお気に入りです。

ただ前半部が話の進みがゆっくり過ぎたような印象が

ありました。最後でバタバタッと真相が出てきた感じ。

でも基本のどんでん返しあり、ミスリードの伏線あり、

とワクワクして読めました。


唯一ちょっとだけ気になったのが成瀬。

彼は何考えているのか分からない(^^;)

コロコロ態度が変わって、読んでいて

「さっきとと違うじゃん…・・・」

の繰り返しだった。

暴力的だったり、優しかったり……

何かおかしな表現ですが、ドメスティックバイオレンスなどの

話でよく聞く、”殴った後は優しいんです”みたいな。


最後も結局彼の本心が全部は分からず、

ちょっと不気味さが残りました。

あえてそういう人物に描いたのかもしれませんが(^^;)


女探偵のミロ、カッコイイです。

この本でミロは探偵としても初仕事をこなしたことになる

のですが、初めから上手くいくわけもなく

いろいろと危なっかしい目に遇ったりします。

でも最初から名探偵でないところが逆に新鮮。

先に読んでしまった短編だとなかなかの

探偵っぷりだったので続編も楽しみです。