「おそれ」いろいろな恐怖 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

おそれ (ふしぎ文学館)/高橋 克彦


うろ覚えですが、確かシェークスピュアさんに

怖い話の作家さんとして教えてもらったような……

「おそれ」を読みました。


「せっかく、こういう話をするんだったら、雰囲気を盛り上げる

 ために部屋の明かりを消したらいいんじゃないかい。」

旅行会に集まった6人はそれぞれに怖い体験談を語り出す。

そして最後に語られる話とは?! 

                     (表題作『おそれ』より)


『鬼追者』

 UFOや鬼に興味があって仕方がないという三人が出会う。

 彼らを駆り立てる衝動の本当の正体とは。


『猫屋敷』

 「絶対に猫だけは駄目だ。それがオレたち、真壁一族のしきたり

  なんだよ」

 猫に祟られた一族の過去を解き明かす。


『色々な世界』

 突然世界の見え方が変わった。赤が青に

 鬱陶しい嫁が優しい美女にヒラメの刺身が鮪に??

 彼に何が起こったのか。


『悪魔のトリル』

 不気味な見世物の多い”衛生博覧会”で見た

 トランクに詰まった美しい少年のバラバラ死体の人形。

 私は言いようのない感動をおぼえていた。


『鬼女の夢』

 伯父と叔母が大好きだった”私”。深夜まで

 語り明かし、旅行について行き、文学部の教授で

 ある伯父とは本の話をたくさんした。叔母はいつも

 笑顔だった。しかし叔母の本当の気持ちは……


                     他6編(全12編)


いろいろな恐怖があるものですね(^^;)


やっぱり一番インパクトがあったのが始めて読んだ

作品になる『おそれ』でしょうか。

百物語のような雰囲気の話が結構好きなので

楽しめました。

こういう形式の話は読みやすいし、たくさんの

小さな話があってさらに全体のオチが最後に

つくのでちょっと得した気がします(^^)


作中で語られる話も怖かったです。

理由が分からないものが出ます。

幽霊って、例えば生前憎く思っていた人がいたとか

無念の死をとげた、とか出てくる気持ちも分かるなぁ

っていうものが多いですよね。

この話の中では関係ないです。

いきなりパッと幽霊が出てきてその理由の検討が

つかない。

これって意外とゾっとします。


帯に「理性によって恐怖は克服できると、人間は信じている。

    しかし、それは『理屈がつけられる』恐怖だけだ。」

とあります。正に……


登場人物の設定が似通っているものが何個かあったのが

気になりました。

キーワードは”フリーライター、医者の息子、弟”

といった感じでしょうか。もちろん当てはまらないものも

ありますが、少し気になっただけです(^^;)


他に怖いと思ったのは『鬼女の夢』。

小さい頃に感じた大人へのちょっとした

恐怖を思い出しました。

大人って本心を隠すから子どもにとっては

得体が知れないのかもしれませんね。


確かにこの文章は怖いです。

来年の夏も読みたい(^^)