
恐怖は脳髄を貫き絶望は眩暈を誘う。火村&アリス六つの昏い迷宮に挑む。
「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」
と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。
残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場する
ヴァーチャルな怪物が――。
暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壺中庵」「月宮殿」
「雪華楼」「紅雨荘」と、底知れぬ恐怖を孕んで闇に聳える六つの迷宮の謎に、
火村とアリスのコンビが挑む。
新潮社HP内作品紹介文より引用
収録短編
黒鳥亭殺人事件
壺中庵殺人事件
月宮殿殺人事件
雪華楼殺人事件
紅雨荘殺人事件
絶叫城殺人事件
それまでは、タイトルに『殺人事件』と付けなないようにしてきた、という
著者の有栖川有栖川先生がそれを解禁した作品ですね。
やはり、殺人事件が並ぶと、THEミステリ!って感じが出る気がします。
まぁ、そんなTHEミステリ!を読む事はあまり無いのですが。
王道より、ミーハーなのかな、私は(笑
火村センセとアリスコンビは大好きです。
そのせいか、江神さんコンビは『月光ゲーム Yの悲劇'88』しか
読めてないんですね…や、読みますよ、そのうちに。
あざとさも、大好きです。
二人のシリーズを読むと、むしょーに創作したくなります。
それぞれが面白かったので、それぞれの気に入った感想をざっくり
書きたいと思います。
『黒鳥亭殺人事件』
火村とアリスの大学時代の旧友、天農に呼び出され、天農とその娘の真樹
が二人で住む『黒鳥亭』へ向かう。
前黒鳥亭持ち主は二年前に無くなったはずだったが、その持ち主が
裏庭にある古井戸の中で死体が発見された。
しかも、死後一週間ほどしか経過してないという。
そんな経緯があり、火村とアリスが訪れる事となったんですね。
天農が火村とアリスに死体発見前までの状況を話す間、アリスが真樹に
絵本を読んであげるんですけどね、片方では死人の話をしているのに
アリスと真樹にツボでした。
それから『十二の扉』というゲームもしてましたね。
知ってます?
出題者が頭の中で思い浮かべた物(表現可能なもの)を20個の質問を
頼りに当てていくというゲームなんですけど。
Qそれはこの部屋にありますか?
Aはい/いいえ
とかそんなので答えていくゲームなんです。
なかなか面白いので今度誰かをつかまえてやってみようかと思う。
童話のあの話がきっかけとなっているかもしれないという推理は
さすが火村センセ。
火村さんの推理だもの、きっとそれが事実なんだろうけど…ちょっと切ない。
『壺中庵殺人事件』
想像力が乏しすぎる自分に涙です。
火村センセの言ってる事はわかるんですけどね、壺中庵トリックの
イメージができなかったぁぁぁぁ!!!
え?死体をどうするって?持ち上がるの?本当にしっかり閉まるの?
みたいな。
あと3回くらい読めば理解できるかな…。
『月宮殿殺人事件』
アリスが『火村に見せたいものがある』という事で、1年前にアリスが
偶然見かけた建造物を某事件の帰り道に寄ってみようとした所、なんと
その建造物が火事で全焼。
その建造物は『月宮殿』と呼ばれ、浮浪者がガラクタや廃材を集め
勝手に立てた違法建築物。
警察の捜査も既に行われている中、焼けた月宮殿を見に行く。
犯人もあっさり分かってしまい、このままあっさり終わるのかと思いきや
この月宮殿を建てた浮浪者のある想いにとても心打たれました。
『雪華楼殺人事件』
もうこの事件は、映画か本の中だけだな。と。
そしたら『雪華楼殺人事件』発表前に、某映画で似たようなトリックが
既に使われていたとか…。
悔しかったでしょうね。
この事件は有り得なさすぎる感があるからこそ、起こってしまったら
衝撃は大きいだろうなぁ。
『紅雨荘殺人事件』
紅雨荘の女主人、元化粧品会社の社長が自宅で首を吊って死んでいた。
容疑者に浮かび上がった人物には、誰もが完璧なアリバイがあった。
が、まぁいつもの様に火村センセの推理によって解決するんですけど
読み終わった後の気分はよくなかった。
結局犯人は自分の中だけで悶々としていただけじゃないか。
切なさも同情も沸かないわ。
いやぁー、でも大仕掛けのトリックはすごい。
考えただけでも大変な作業だわぁ。
『絶叫城殺人事件』
めずらしく犯人がわかりました。
誰かのレビューにもそう書いてあったので「ああ、私だけじゃないんだ」と。
絶叫城の犯人がわかった人って少なくはないんだろうな、と思います。
トリックや動機も全て理解した上での『犯人はお前だ!』じゃなくて
なんとなく…『じゃぁ、こいつしか居ないんじゃね?』みたいな。
というのも、短編を順序よく読んでいき、絶叫城を読み出したら
不思議と犯人の元へ導かれていくような感覚でした。
それぞれの短編で、火村センセの謎解きやアリスの数打ちゃ当たる的な
推理を見た後で、さて、最後のミステリ。
『こいつは犯人じゃない』
『こいつはあり得ない』
『じゃぁ発想の転換?』
『そしたら犯人はこいつしか居ないじゃないか!』
みたいな。
やったー!犯人当たった!なんて喜んでみたものの何て事ぁない。
結局、作者に導かれた犯人当てだったのか。
と、ぬか喜びに終わった。
以上。
短編はサクサク読めていいですねー。
今回の6本の短編の中で一番好みなのは『月宮殿殺人事件』だったかな。