『ランナーはマラソンレースの最中、何を考えながら走っているのだろうか?』

 

旧聞に属する話題となってしまったが先月参加したドバイマラソンについて書こうと思う。Sコラムはいつも偏った話題ばかりで恐縮だが、今回はいつにも増して極めて個人的なテーマであり読者の皆様には大変申し訳なく思う。

 

ドバイマラソンを走り終え、いま現在の感想をひと言で表すと「悔しい」に尽きる。ドバイから戻りすでに一ヶ月が過ぎようとしているもののいまだ悔しさが晴れることはない。

理由は簡単だ。目標としていた4時間を切ることができなかったからである。

 

レースに向けた直前の約3ヶ月間、いつにも増して集中的にかつ効率的にトレーニングができたとう実感から4時間は切れると確信したのだ。(恥ずかしいので誰にも言わなかったが)

加えてドバイのコースはほとんどフラットでこの時期は気候も良い。朝の気温は15度以下、日中、上がっても25度くらいでとても心地よい。湿気も50%前後だ。

記録を狙えるお膳立ては全て揃っているではないか。

 

125日の午前7時、レースはスタートした。前日の日本代表のサッカー観戦を思い出しテンションも上がる。スタート直後から調子がとても良い。20キロくらいまではやや早いペースで走る。その後30キロまで巡航速度だ。この調子でいけば3時間45分前後でゴールできそうだ。思わず笑みがこぼれるではないか。走りながら次回コラムの内容を考える余裕さえあったのだ。

まずはコラムの題名だ。「私はいかにしてサブフォーを達成したのか?」「サブフォー達成奮闘記」「目指せ東京オリンピック!」などなど威勢のいい妄想をしながら走るのは実に愉快であった。ひとしきり妄想が終わったので今度は周囲のランナーを観察してみる。するといままで他のレースで見たことないような「おもしろランナー」たちがたくさんいるではないか。

例えば、

・走りながら女性ランナーをナンパしている欧米人男性ランナー

・後ろ向きで走るランナー

・コーラン(?)を大声で唱えながら走る中東系のランナー

・サッカーボールをドリブルしながら走るランナー(彼は35キロあたりでリタイヤしていた)

・コースを逆走するランナー

・仲間と口論しながら(?)走るランナー(最後は和解していた)

 

これらの興味深いランナー観察のおかげもあって快調に走ることができたのだ。

そう、30キロまでは。

 

身体に異変が起きたのはちょうど30キロを過ぎてからだ。

まるで申し合わせたかのように30キロすぎで両足首、両膝に歩くのもままならないほどの激痛が走る。これ以降、10キロの行程の半分以上は歩いたように思う。情けない。

やはりマラソンの神様はそう簡単にサブフォーのチケットを与えてくれないのだ。

結局、4時間11分でゴール。達成感はほとんどなく悔しさと情けない気持ちで一杯であった。

 

こうしてコラムでレースを振り返ってみると悔しさが指数関数的に増えていく。でもいつまでも悔やんでいても仕方がない。次回のレースに向けて、初心に戻って一から出直そう。