我々、Team Black Starz(ブラスタ)は、しばしば”働くエンターテインメント集団”として紹介されることがある。その言葉の通り、メンバーの全員がブラスタの活動以外にも職業を持っており、平日はそれぞれの仕事に従事している。

日頃から小まめにニュースをチェックし、国内外における政治や経済の流れ、環境問題、スポーツ、エンターテインメントなど幅広いジャンルの最新情報を確認する作業は、社会人になってから身に付いた習慣の一つである。(キリッ!だって我々、アラサーだもん。)


さて、毎日洪水のように溢れるそんなニュースの中でも、皆さんも一度は目にしたことがあるであろう大きな国際問題の一つ、イスラエル・パレスチナ問題。


今回のブログでは、この世界的に見ても非常に大きな国際問題に対して、日本でできることを13年間取り組み続けているある団体の活動に、ブラスタが携わったときの話をお届けする。







「イスラエルとパレスチナの若者が、一緒に輪になって………をする」







この貴重な体験のきっかけをくれたのは、「日本・イスラエル・パレスチナ学生会議(JIPSC)」と言う団体だ。参加メンバーは現役大学生(インカレのため各大学から参加者が集まっている)が中心で、団体OB・OGがそのサポートをするかたちで参加している。


活動は、年に1度、紛争状態にあるイスラエルとパレスチナの双方から第3国である日本に大学生を招待し、日本を含めた3カ国の大学生が2週間ほど合宿形式の共同生活をするというもの。合宿中は、それぞれの国や地域、個人が抱える問題をディスカッションで議論し合ったり、一緒にご飯を作って食事をしたりと、大学生という身分を最大限に活かした、世界でも稀有な交流の場となる。別れの際は、成田空港で人目をはばからず涙を流す参加者が出るほど、彼らの絆は強く結ばれる。


勿論、参加者の渡航費や滞在費を負担してくれる協賛企業を探したり、滞在中のプログラムを作成したり、それら全てを企画・準備することも本団体の活動の一環だ。

JIPSC公式HP: http://jipsc.org/

 

 

 

 

この活動の中で、ブラスタに依頼された事は1つ、「彼らに最高の想い出をつくってくれないか」というものだった。

 
概要としては、JIPSCの主催する合宿の最終日、運営側からのささやかな贈り物として、合宿に参加した全ての学生のためにあるパーティーが用意されている。その中でブラスタに踊ってもらい、会場を最高に盛り上げて欲しい、というものだった。

 
正直、この手の依頼は、ブラスタに最もよく届く部類のものだ。


自分たちの持ちネタの中から、その会場に一番相応しいネタを選び、相応しいものがなければその依頼のために新しいネタを創作し、練習をして、本番を迎えれば良い。


しかし、Zukeの中には一抹の不安が残る。


これだけの社会的意義をもつ活動の中で、最高の想い出をつくる。ただ踊るだけでいいのか。いいわけがない。


イスラエル、パレスチナ、日本、学生、合宿、夏、様々なワードがZukeの頭の中を飛び交い、出た結論は………。






※それっぽい口調をイメージしながら、読んでください。


Zuke:いやー、ビビッときましたねぇ、盆踊り。コレっきゃないって思いましたよ。もともと今年の夏は、盆踊りをするために調子整えてきた、みたいなところありますからね。イスラエル、パレスチナ、日本、全部まとめて、ドンってな具合ですよ、ドンってね。あっ、盆踊りだからドンじゃなくて、ボン、ですかね。






こうして始まった「イスラエルとパレスチナの若者が、一緒に輪になって盆踊りをするプロジェクト」。


JIPSC側からは、今回のパーティーの主催者で、ブラスタへ依頼をくれた団体OBのKKこと小林啓太。ブラスタ側からはリーダーであり、盆踊りの言いだしっぺZuke。この2人が連絡を取り合い、プロジェクトの内容を詰めていった。


更に、事前に現場の下見も行い、成功のイメージをより一層強めた。

 


そして迎えたプロジェクト決行の日、ブラスタから出席できるメンバーに加え、ZukeとZabuが講師を務めた「丸の内朝大学」の受講生たちを中心に結成されたTeam Mob Starzのメンバー、合計で20名弱の人数が現場に集まっていた。

丸の内朝大学HP: http://asadaigaku.jp


今回、Zukeと小林がプロジェクトの舞台として選んだのは、りんかい線東京テレポート駅からお台場ヴィーナスフォート側へ繋がる歩道スペース。歩道と言いながらも、野球グラウンド並の広さがある。
時刻は19:30を少し回ったところ。周囲に建物が少ないということもあり、この時間にしては辺り一帯が暗い印象を受ける。
ポツポツと等間隔に立っている街灯の1つに、メンバーは固まっている。


メンバーが揃っていることを確認した後、Zukeが改めて、これからの流れを説明する。


「パーティーを一通り楽しんだ大学生たちは、軍用車でお馴染み、最近では有名人なんかが乗りこなす車のハマー、そのハマーの正規代理店であるハマージャパンが所有・運用しているハマーバスなる、国内唯一無二のパーティーバスに乗ってここまでやってくる。ハマーバスについて詳しく知りたい人は、グーグルでハマーカフェと検索してくれ。繰り返す、グーグルでハマーカフェだ。これは宣伝ではないぞ。」
Zukeはここまで一気に話すと、周囲を見回し、一呼吸おいてから続きを話し始める。
「バスはこのスペースに面したところに一時停車する予定だ。我々は散らばった立ち位置から、バスが停車したポイントに集まり、挨拶代わりのフラッシュモブをぶちかます。楽曲は残酷な天使のテーゼ、Team Mob Starzバージョンだ。踊り終わった後すぐに、例の曲がかかるので、秘密の横断幕を掲げ、プロジェクトの仕上げにかかる。以上、質問のあるメンバーはいるか。」
一瞬の静寂。一足先に秋の訪れを告げようとする虫の鳴き声だけが、草むらから聞こえる。
「では、全員の舞運を祈る。」
Zukeの一声を最後に、各々が持ち場へと移動していく。後はバスの到着を待つだけだ。

※本当のところ、Zukeは全て敬語や丁寧語で、お願いするように指示を出しております。





どれくらい待っただろうか。いつもより高い位置を流れている雲と時計の文字盤を何十往復と繰り返し眺めていると、通りの奥から重低音を響かせる巨大な塊がロータリーに滑り込むように進入してきた。
「きた。」
誰ともなく発せられた言葉が、広場に響く。
意識よりも先に、勝手に身体が動き始めていた。
バスに向けて一斉に駆け出すメンバーたち。甲子園で勝利を収めた球児たちが我先にとアルプススタンドに向かうように、自分たちがこれから起こすことに対する喜びが、既に身体中から溢れ出ている。


Zukeの発言の通り、バスの中から残酷な天使のテーゼが大音量で流れ始める。そしてこれまたZukeの発言の通り、踊りをぶちかます。湧き上がる歓声。ここまでは予定通り。
そして、歓声が落ち着いてきたところで、日本人には懐かしいあの音が流れる……大東京音頭。

それと同時に、バスに向けて広げられた横断幕には「Let's Dance Together」のメッセージ。
バスの中では、仕掛け人の小林が大学生たちをバスの外へ誘導している。
こうして始まった前代未聞のイスラエル、パレスチナ、日本の3カ国の集団によるサプライズ盆踊り大会。音頭に合わせて進みながら、ちょちょんのちょんで手を叩く。本場の盆踊りよりも簡易的にした踊りを、輪になりながら一緒に楽しむ。

ちなみに、Zabuの盆踊り中に出ているプロ感は、他を圧倒していたことは言うまでもない。

参加者の女性: はい、あのキレはこれまでの人生で見たことなかったですね。キレって言葉であってるのかなぁ。なんて言うか、無駄な動きがないんですよ、踊りに。んー、一言で言うと、達人っぽかった…ですかね。



こうして、Love &Peaceな夜は更けていく。
今回の合宿に参加した彼らにとって、この時間が掛け替えのない想い出になることを天に祈るように、大東京音頭はお台場の夜空に響き渡っていた。






JIPSCのOBで、Zukeと一緒に本プロジェクトを支えた小林啓太は、パーティーの途中にこんな内容のスピーチをしていた。


JIPSCの活動をするだけで、世界から戦争がなくなることはない、そんなことはわかっている。
だけど、私たちは強く信じている。この活動は、私たちにとって、素晴らしい未来を創っていくと。




後で聞いた話では、このJIPSCの活動に参加した大学生たちは、本国に帰った後も連絡を取り合っているそうだ。
今年で13年目。この活動があと何十年と続いた未来を想像して、ワクワクしない人はいないのではないだろうか。



最後になったが、このような素晴らしい体験をする機会をくれた小林啓太を始め、JIPSCの皆さん、ハマーカフェの皆さん、当日参加してくれたTeam Mob Starzの皆さんに深く感謝の意を表して、今日のブログを締めくくらせていただく。

本当にありがとうございました。

そして、引き続き、Team Black Starzを宜しくお願いします!てへっ>_<

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