正しい努力をして
ただひたすらにその時を待つ
これは凡人が巨人と対抗する
有効な手段である
私はそのことを経験上知っていた
このタイミングだ!
1年とちょっと
待ち続けた勝機
彼女との出会いはまさにそうであった
週に1度それがやがて
毎日のように
彼女は店に足を運んでくれた
まるで験を担ぐかのように…
私も学生時代から
風俗業を営んでいた人生
経営者として分かり合えることが多かった
既存の常連さんとも一気に親密になり
新規が訪れた時は
店の従業員かのように盛り上げてくれた
その上で
彼女が支払う単価は3倍
儲からないはずが無かった
そんな蜜月な関係が数年経ち
私の店は地域でも目立つ存在となったが
ある時
老舗BARのマスターにこんな忠告をされたのだ
『ポジティブな店にしないと商売は続かないよ…』
昼間の世界を生きてきた人間にとって
これは当たり前の感覚なのかもしれないが
夜の商売を渡り歩いてきた私にとって
まさに青天の霹靂ともいえる衝撃だった
ネガティブな人が依存先として選ぶから
儲かるし長続きもする
ポジティブな人は移ろいやすく
売上げの予測に入れづらい
キャバクラ…風俗…そしてBAR
人の不幸の上に成り立つ商売だと
信じてやまなかった私に
このマスターの一言は楔として突き刺さる
今までやってきた事が否定された
私と彼女との関係を妬み
嫌味を言われたのかもしれない
そんな風に思考をグルグルさせても
脳裏に浮かぶのは
マスターが放つ勝者の覇気
『俺はこれで
40年店を続けてきた』
そう言われているかのような感覚
儲かってはいるが
何かが引っ掛かっている
やがてそれは
私の中で留める事の出来ないほど成長し
大きな濁流として溢れ出した