修士のプログラムがスタートする前から、治験の申請の準備もしていました。
私の専門はてんかん治療になるので、その薬物治療に関する治験を考え、Internal Review Board(通称IRB、治験審査委員会)に提出しました。
私の働いている病院では、治験だけを行うクリニックがあります。
そこは、IRBよりも先に治験のプロトコールを吟味し、審査する人たちもいるのです。
そこの審査委員会がOKを出して、初めてIRBが治験をしてもいいかどうかの審査を始めるという仕組みになっています。
そこの審査委員会では、主に2人の専門家に私の治験の案を審査していただきました。
1人は神経学の専門家、もう1人は天然物を使った治験の専門家。
2人ともお医者さんたちです。
で、先日、治験を行うクリニックの審査委員会に呼ばれ、前述の審査委員の他の委員の人たちも入れて、改めて審査が行われました。
結果、あっさりと私の治験が却下されました。
理由は、いつ患者さんがクリニックに来るか、どんな検査をいつするのか、というところが文章で書いてあるとごちゃごちゃしてわからなかった、漢方薬というのが何者なのか、漢方薬の何がどう効くのかがわからない、どうやって品質を保証するの?、、、
などなどでした。
逆に言えば、それだけ訂正すれば大丈夫という訳ですが、言われたことは他にも山ほど、、、
アメリカ人に、漢方薬をわかってもらうのは至難の業です。
初めて、会議という公の場に借り出され、1対多数の経験をし、そこで発言をしないと私の治験はもっともっと認められなくなるという状況になりました。
公の場で自分の考えた治験をけなされるのはしんどかったです。
3ヶ月以上かけてしっかり考えたし、何度も書き直しをしたし、、、
だから“これを認めるわけにはいかない”という言葉を聞いたときには悔しくて悔しくて、、、
その会議の場を出て行くと、後ろから審査委員会のトップの人が私を追いかけてきました。
“もも、落ち込まないでね。今はしんどいと思うけど、今日の会議の席でももが味わったことは、研究者としての道を歩き始めた人はみんな一度は経験することなんだ。今日言われたことは、治験をする上でしっかりとやっておかねばならないことなんだ。そこをしっかり学んでね。改めて、あんまり落ち込まないように!”
と、わざわざ言っていただきました。
正直、その言葉に泣けました
その優しさに、そのありがたさに泣けました
翌日、本学のキャンパスへ行って、ある勉強会に参加したのですが、その勉強会を通して、自分に何が足りなかったのか、なんだかわかりました。
その後、ボスとも話して、何をどうする?とディスカッションして、今また治験を練り直し中です。
ボスも、
“よくあることだよ。僕もももと全く同じような気持ちになったから、どれだけしんどいかわかるよ。でも、わかって欲しいのは、この審査委員会の人たちは治験のベテランの人たちばかりで、彼らはどんな研究者の人にでも、みんな頑張って欲しい、研究者として成長して欲しいって思ってるんだよ。だから言葉がきつくなってしまうんだけど、その気持ちだけは受け止めてね。”
と言われました。
受け止めましたよ