はまぐり)野尻湖レースレポート2 | MIGHTY TRIATHLON CLUB

はまぐり)野尻湖レースレポート2

ラン
スタート~2km(AS3)
バイクの最終回ラン分岐道でエノさんとすれ違った。
やっぱり付け焼刃の練習じゃ敵わないと思ったけど、
タイム差は10分程度しかないはず。
これは初トラから良いタイムが出るんじゃないの?なんて思ってた。
ついさっきまで。
今、一歩進むたびに膝は上下に万力で締め上げられるように悲鳴を上げ、
腰の痛みは上半身を支えることもできないほど響く。
脚を上げても直ぐにストンと下に落ちる。
誰かが応援してくれてる?Mighty応援団の声もよく聞こえない。
もう走る速度じゃない。

。。。だめだったか。
この時ようやくトライアスロンが鉄人スポーツと言われる理由が分かった気がする。
みんなレース前に口にしていた「完走」は単なる謙遜なんかじゃなかった。
やっぱり甘いよな。
せめてできることは、、、歩かないこと。止まらないこと。
「AS3あと1km」の看板を過ぎる。
あと1km行けばと思う。緩やかな登りが脚を引っぱる。あと1kmが終わらない。
エイドの休憩は?登りの終わりは?痛みは消えないの?
頭の中は同じ事を繰り返す。
それでも走り続ければ先に進むはず。

2km(AS3)~4km(AS4)
AS3ランで最初のエイドステーション。
何をもらえばいいかよくわからない頭のまま、とりあえず水をもらう。
飲む。
少しして心が落ち着いてきた。
やっぱり消耗が激しかったようだ。
落ち着きを取り戻したおかげで遅いけどフォームもまともになってきた。
このままならもうちょっとで復活できると思った矢先に目の前に登山道がある。
えぇぇ?嘘だろ!これ登んの??
誘導係がいるとかどうやら順路らしい。なるほど、これが野尻湖か。

せっかく持ち直したフォームもまた崩れてきた。
こんなペースだから後ろから来る人に悉く抜かされていく。
しかし為す術なし。
「大丈夫か?」オレンジジャージが声を掛けて駆け抜けていく。ティン少佐だ。
ここで大丈夫です!って言えればカッコ良かったのにと思う。
「がんばれ!」またまたMightyジャージが声援をくれる。今度はまがおさんだ。
うわーん。負けたー
前の人は歩いてるのに走ってる俺の方が遅い。嫌になる。
けどさっきの声援で妥協する気はなくなった。歩きはしない!
そんな気持ちのまま突き進んだら太鼓橋は難なくパスできました。
登りの終わりとともに徐々に森が開けてきた。
AS4が見えた。

4km(AS4)~6km(AS5)
AS4でスポンジなるものの存在に気づく。
なるほどこれで体を拭くのね。便利アイテムだ。
千葉マリンマラソンの時はそんなもんなかったよ(←冬で雨じゃ要らんだろうに
少し進むと高速道路が見える。田畑も広がっている。
野尻湖から一歩出ると山々山かと思ってたけどむしろこっちの方が人が居るのかと少し驚く。
前方からMighty接近!
3人もいる。大将、山ちゃん、ZONOさん、すごいデッドヒートだ。
MightyTOPとの差はずいぶんあるんだな。これが実力差か。それでも声援に応えるべく走り続ける。
そして目の前には再び山登場。
登山中にエノさん、GTIさん、DOS鯉さんともすれ違いエールをもらう。
いまだに次々に抜かれるが(トラアスリートってラン強いの?)ついにカッターに抜かれる。
頑張ればついていける感じのペースで抜かしていく。
でもなんだろう。今以上の力が出ない。
いつの間にか膝と腰の痛みは引いたのにどうして力が出てこない。なぜ?
カッターとの距離はどんどん離れていく。

6km(AS5)~8km(AS6)
AS5の手前の踏切で何とも厳しい声援をもらう。
「遅いぞー!もっとがんばれ!!」
遅いとストレートに言われてのは初めてた。だが実際遅い。ぐうの音も出ないです。
AS5にバナナがある。だけどとったのはスポーツドリンクだけ。
エイド通過後無性にバナナを思い出す。
さらには昼飯何かなーとか考えだす。
ついに頭がおかしくなったかと一瞬思ったけどこれは経験がある。ハンガーノックだ。
気づいた時にはもう遅い。ランでの固形物補給は胃に厳しいし、手持ちの補給品は何も無い。
どうしよう。何となく冷えてくる体と頭の中ご飯のことでぐるぐる。
ペースは上がらない。
田んぼの中それでも走り続ける。

8km(AS6)~10km(AS5)
名前読み上げおじさんのいるAS6。
思い切ってバナナを補給。
胃が痛むかと思ったけど何ともなし。
よっぽどエネルギー不足になっていたのだろう。それだけじゃ足りないほどに。
AS5でまたバナナか?と思ったけどやっぱり2個も胃は受け付ける感じじゃない。
そんなところにちょうど良く私設エイドがあるじゃないですか!
応援のご婦人から氷砂糖を頂戴する。
口に入れてバキバキと噛み砕いていくと四肢に力が湧いてくるのがわかる。
はまぐりくーんとカエルさんとすれ違う。む!このペースだとまさか食われる!!
行こう!脚に力を入れペースを上げる。
カッターを再び視界に捉える。

ある少女の声が心に刺さる。
わかってるさ。俺だって手を振って「ありがとう」って言いたいさ。
でも大会に出た以上は全力を出すのが自分の信念なんだ。
そして今の全力じゃ声を出す余力すら残らないんだ。
来年また応援してくれるのなら。今度はもっと強くなって「ありがとう」って応えるよ。

10km(AS5)~12km(AS4)

エイド手前でアイリスさんと声を交わす。
水分と思ったが、エイドはスポーツドリンクをもらう。
水はなんだろう?胃に重い。
踏切を過ぎた坂でついにカッターを抜き返す。
しかしカッターはさっきの俺みたいな状態になってる。どうしたんだろう?
声を掛けて一人ゴールを目指す。
ペースは落ちない。
ジョン、禅会長、やじやじ、ダック先輩とすれ違い励まし合う。

12km(AS4)~14km(AS3)
太鼓橋手前にて最後のMightySAMおじさんに会う。
がんばってと声を掛けると結構元気そうに返事が返ってきた。
直ぐ後ろの人から同じジャージの人多いですねと聞かれる。
多いとは思っていたけど、やっぱり目立つのね。
復路太鼓橋も飛び跳ねるが如く通過する。
ここを過ぎればもう難所はない。
苦しいけどペースを維持。

14km(AS3)~
最後のエイド、苦しいけどなんとか「ありがとう」と言ってみる。
あんまり声は出なかった。
湖畔を駈ける。
往路のときここでトップ選手とすれ違った。
まだまだある道のりと思っていたランもあと2km。
そんな爽やかな思いとともに腹が減ったと思い始める。ネタじゃないです。
バナナ、氷砂糖だけではエネルギーが足りなかったんだ。
(実質この短時間で補給のエネルギー吸収はできてないと思います。)
また体が冷えていく。
あと1kmちょいの我慢だ。
スパートを掛ける。

緩い登りを過ぎMighty応援団とタッチを交わす。
たぶんこの時の顔はあまり健康的でないはず。

ペースは落とさず走り続ける。
でもどうして1kmが遠い。
ゴールは?
ゴールは?
何度も思う。
それでも出せる力を振り絞って走り続ける。

会場のアナウンスが聞こえる。
ゴールの旗が見える。
最後のコーナーを曲るとMightyの仲間が勢揃い!!
両手を上げてゴールテープを切る。

終わった。
この時の感想は何もない。
真っ白になったという何もなさ。
でも何もなかったわけじゃない。
レースから3日経った今日でもこの日のことが思い出せる。
すごく激しく、苦しく、やり遂げた思い出。
また来年もこれたらいいな。

以上
MIGHTY TRIATHLON CLUB