皆さん、おはようございます。
気分良く起きんしたか?
暁ですよ。
昨日に引き続き、今朝もわっちがお送りします。
連日、朝っぱらから厚化粧のわっちが出てきて申し訳ないけども、許してちょうだいねえ。
とはいえ化粧を取ってしまうと、わっちは守護霊としてもけっこうな歳やからねえ。
化けて出るしかないんやわ。
さてと、化けるといえばねえ、
わっちの昔話をしましょうか。
本当に昔々、わっちがまだ太夫になる前のお話やよ。
わっちら遊女は、廓(くるわ)というところに住んでいてなあ、そこで色恋の生業をして生きていたんよ。
もちろん、向き不向きもある仕事です。
わっちはさぞかし向いていたと思いますやろ?
ほほほ。
逆ですよ。
わっちはね、自分で言うのもなんやけど器量だけはよかったんよ。
せやけど、艶っぽい仕事は不得手やったんよ。
そんなわっちがどうして太夫にまで上り詰めて、タカのご先祖の「あの方」と出会い、足抜けしたかというとやね、
ある遊女との出会いがありますのや。
その子は三代(みつしろ)と言って、わっちと年端も変わらない女子やったわ。
三代もわっちも理由があってこの世界に入ったわけやけど、わっちよりも上にいる遊女でした。
わっちは若い頃、ちょいとトロイところがありましてな、失敗が多くてなかなか上に行けん時期が続いたんやよ。
せやけど、どういうわけか心の中で「神様」っちゅう存在を信じていたのでねえ、わっちはなんとなくきっとうまくいくやろうと、できることを一生懸命やっていたんよ。
それにしても、神様なんて目に見える存在ではないのに、不思議やねえ。
誰に教わったわけでもないのに、春に桜が咲けば「ああ、今年も神様が桜に宿ったんやなあ。春の神様、ありがとう」と手を合わせましたし、
夏によう暑うて、そんな時に旦那はんらから団扇をいただくと、「ああ、気持ちがええわあ。風の神様、ありがとう」とお礼を言っていました。
ある時、三代がわっちに向かってこう言うたんやよ。
「あんたも阿呆やな。神様なんかいるわけないやろ。神様がいたら、なんでうちらみたいな女が生まれて来るんや。
信じるだけ阿呆らしいわ、どうせ誰も助けてくれんのよ」と。
それ聞いた時ねぇ、わっちは思ったんよ。
「ああ、三代は底まで落ちたことがないんやなあ」って。
神様は、見えるもんでも触れるもんでもありません
せやけど、感じることはできます。
わっちは底まで落ちたことがあります。
生きているのも不思議なくらいの、底に。
せやけど、大変な境遇にあったとはいえ、それでもけっこう幸せやったんよ。
廓に拾ってもらえたし、稼ぎが悪い時でも置いてもらえましたし、ご飯も食べられました。
なにより、空を見上げて「きれいやなあ」と思える心がありました。
それで、「わっちは生きていられる。きっと、世の中にはあちこちに神さまがいて、少しずつ少しずつ、手を差し伸べてくれてるんや。
それに気が付くか気が付かんか、それだけなんやないやろか」って。
そう思った時に、
神様はいると思った方が幸せ
と感じたんよ。
そうして、わっちはいろんな神様をありがたがって生きてきました。
そうすると、わっちに手を貸してくれる人が多くなってきてねえ、三代はおろか他の姐さん達よりも贔屓にされて、
いつのまにやら太夫まで上り詰めました。
そうして、「あの方」に出会うことができ、わっちはこの世界から足抜けして、その後は外の世界に尽くして生きてきたんよ。
外の世界は広く美しく、もちろん楽しいばかりではなく、大変なこともあったけど泣いたり笑ったり、とても幸せな人生やったわ。
好きな人と一緒にいられましたからねえ、こんなに嬉しいことはないわねえ。
今思うとねえ、
「あんお人は神様やったんやろか」と思う出会いがたくさんありました。
人に化けて、出てきてくれたんやないかってね。
そう思えることが、生きていく上で大切なことなんと違うやろか?
皆さんはきっとわかってくれると信じていますよ。
なんや、今朝は思い出話がしたくなったんよ。
わっちも歳やわ、
なんせ400歳やもの
「あら、意外とばあさんざんすね!!
ミーはまだ102歳ざんすよ」
……い、意外と若いんやね……死神さん……
まさかここでハーベストさんの年齢がわかるとは思わんかったわあ。
まあ、女の歳はいつまでも適齢期で済ませましょなあ。
ああ、霊界マネーで美容品買って来なきゃやわ、やれやれ。
それでは、皆さん、今日も元気にいきましょなあ。
わっちらも見守ってますよ。
暁
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