「痛ってえぇーーーあせる


僕は苦悶の表情で身をかがめた。

キッチンのカウンターに、足の小指をぶつけたのだ。

(ああ、小市民・・・)


すると、



「ガハハハ!!足の小指をぶつけてエンエン泣くとは、

タカめ、おまえも小さい男だな!!」


そう言ってガガが笑い声を上げる。


「ガ、ガガさん……マジで痛いんですよ、他人事だと思って……」


僕は本当に涙目だ。


「なに?他人事だと?

当然だがね、足の小指をぶつけたのは我ではないからな」



「ま、確かにね。あはははは」


ワカ、キミも一緒になって笑うんじゃない。


すると、ガガは僕をからかうように言った。


「おまえこの間、財布を持たずに神社に行っただろう」



「はい、うっかり忘れてしまって」

そ、それが何か問題だったのか?


「賽銭を入れなかったから、神様が怒ったのかもしれんがね。

祟りを起こしたのではないか?」



「ええーー!?そんな殺生な!!

そんなことで祟られるなんて、勘弁してくださいよ~」

と、僕は訴える。


するとガガは、手をヒラヒラと左右に振って、

「バカもん、冗談だがね。そんなことで神様が怒るわけがないだろ。

それにだな」


そう言ってガガは続けた。


「そもそも日本人は、『祟り』(たたり)の本来の意味を、忘れておるがね。嘆かわしい!!」


へ?

祟る・・・の本来の意味?


「考えたこともないわ。だいたい祟るって、何かに恨まれて悪いことが起きるとか、そういうこととしか思ってなかったし」


ワカも首を傾げた。


うん。僕もそういう意味だと思ってたけど・・・

「まあ聞くがね。祟るとは、もともと悪い言葉ではなかったのだよ。

本来は神様が宣言することを意味したのだ」


「それは初耳です!! だけど、どうして悪い意味になっちゃったんだろう?」

僕は腕を組んで頭を捻る。

ガガは言った。

「神様は正直だからな。悪いことでも、積極的に意思を示したのだよ。

しかし人間の方が、はっきりものを言われるのを嫌うようになった」


「あ~、なるほどね。たしかに相手に対して、悪いものを悪いとはっきり言える人はありがたい反面、嫌う人も多いわ」


納得のワカ。

確かに、人間は都合のいいことを言ってくれる人が好きである。


「神様の率直な物言いが嫌われると、そんな災いに関する事柄は『祟り』として忌み嫌われていったのだよ。

その嫌われる『祟り』の部分を担わされることになったのが、鬼などの妖怪の類さ」


「じゃあ妖怪たちは、そういう悪い神託だけを背負わされたと?」


「えー、なんか気の毒。でも、たしかに妖怪って、悪戯とかイメージする人多いかもね」

ワカの言葉に僕も頷く。


「だが、もともと神様と妖怪の括りはなかったのだ。

同じ見えない存在として、日本人のそばで一緒に暮らしていたのだよ」


僕は地方の神話を集めた「風土記」を思い浮かべた。

出雲国風土記や常陸国風土記など、神話に登場する神様はみんな、

妖怪さながらの様相で登場する。


「じゃあ妖怪も神様・・・いや、神様が言いにくい部分も担ってくれる、

大切な存在ということですよね」


そもそも鬼だって・・・


ほら!



悪いものを退散させるために、鬼瓦として僕たちの生活を守ってくれているほどだから。


「じゃあ来年の手帳は、魔除けにもなって大成功ですね。

妖怪も一緒に、僕たちを守ってくれるんだから!!



(ここから宣伝入ります!!


「そうなのだよ、神様に仏様、そして妖怪。よくぞこの三位一体のスタイルを作れたがね。

自分で言うのもなんだが、素晴らしい手帳ではないか!!」


「まあ、みんなで会議して苦労したもんね(笑)。

しかもAmazon予約してくれれば、今ならガガビエしおりも付いてくるし」


ワカが苦労を思い出すように少し笑った。




「書店で買ってくれた者にも、もれなくガガビエの待ち受け画像のダウンロードを可能にしたがね。安心したまえ」

ガガも笑った。


 

 



というわけで、最後はガッツリ宣伝も入りましたが(笑)、

もともと率直な物言いをする神託(祟り)を嫌った人間が、悪いものだけを「祟り」と言って切り離した。

それを担わされたのが妖怪たち。


だけど鬼に河童に座敷童、それにアマビエも。

みんなが僕たちと共に生きている。

それこそ、八百万の神々に匹敵するほどの数が存在するわけです。


ガガによれば、

「人間や動植物のように、目に見える存在の方が少数派なのだよ」

というほどですからね。


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台風が近づいていますので、備えを万全に安全に過ごしましょう。

金曜日、頑張りましょうね~!!





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