「タカや、おまえ負けたな」





ガガがいつになく真面目に語りかけてきた。


「……はい、完敗です……参りました」


は言葉を切って、顔を上げた。


「世の中にはまだまだすごい人たちがたくさんいると、痛感しました」


先にも書いたことだが、僕たちは先日、茨城県笠間市を訪れた。

そこですごい経験をしたのである。


僕たちは常日頃から、

「心から人を喜ばせましょう」

 

「人のために時間を使うことが運を味方にするんですよ」

と、言っている。


だから、それなりにできているつもりでいた。

しかし、世の中は広い。

上には上がいることを痛感させられたのである。


僕たちがはじめに訪れたのは、陶芸家の田崎太郎先生(通称、工房長)のお宅だった。





いつものようにガガさんと黒龍さんにも、冷たいお茶と菓子を用意してくれた。



これにはガガさんと黒龍さんも感激したのは言うまでもない。

僕たちも、優しく温かい気持ちにさせられた。


そして、ここからがすごいドラマのスタートである。

楽しい歓談の後に、笠間稲荷神社の隣にあるうなぎ屋さんに連れていってもらった。


処は、昨年もご馳走になった、笠間に旨いもの有~うなぎ量深~での出来事である。


店に到着すると、大将がニカっと笑った。



「よ!!来たな!!今、うなぎ焼いてっから見なよ!!」

相変わらず威勢が良くて気持ちがいい。


ここのうなぎは日本一だ。

いや、大将の腕が日本一なのか。

とにかく、人もうなぎも最高なのだ。


パチパチ、パチパチ…パチ……。


うなぎの脂が滴り落ちるたび、最高品質の紀州備長炭がいい音を立てた。

香ばしいにおいが立ち昇る。

汗を拭いながらも真剣なまなざしの大将、仕事人のプライドが垣間見える。



ジュジュジュ…パチパチ…徐々に焼き上がっていくうなぎの身。

それを見ながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。


これを器に盛りつけて、箸で突いて……と、僕が妄想を繰り広げていると、


「ほら、白焼き!!わさび醤油で熱いうちに食べな!!今、切っからねー」


そう言って、檜のまな板ごと渡してくる!!

え?

お店の中に運ばないの?


呆気に取られる僕たちをよそに従業員の皆さんが、

「はいはい、座って座って!」と、台やら椅子やら店先に並べ、あっという間にオープンテラスの如く、宴席が出来上がっていた。



まさかの展開に戸惑いつつも腰を下ろすと、まな板の白焼きが

「厚意は即刻受け入れろ!!」とばかりに、語りかけてくる。




箸を付けた。

わさび醤油をちょろりと付けて、口に入れる。

ハフハフと頬張る。

(こ、これはたまらん。ああ、こんな時にビールが飲めたら最高だなあ。でも、車の運転があるからお茶で我慢っと)

と、思った瞬間!!

 


「はいよ、ノンアルコールビールね!!ムードだけでも味わってって!!」


なんと!!

大将、人の心が読めるのか?

一堂驚愕である。



「今から卵焼き持ってくよ!!待ってて!!」


次々と運ばれてくる絶品の料理。

それにしても、僕には気になることがあった。

すでに昼の営業は終了する時間。

まさか、これをするためにこのちょっとズレた時間に連れて来られたのだろうか?

と思いつつも、目の前の料理にそんな思考はすぐにかき消された。


「さあ!!メインは中でゆっくりと食べてね~」

という大将の声に促されながら、僕たちは再び店の中へ。



すでに注文していた、うな重はもちろん最高。

ほっぺたが落ちるとは、まさにこのことである。


田崎工房長ご夫妻も、僕たちの満足そうな顔を見てニコニコ笑っている。



しかも工房長の代表作、仔猫神様もテーブルで一緒だった。



なんて贅沢な時だろう。

大満足の食事が済むと、僕はお礼に持参していたお土産を手に大将のもとへ向かう。

すると、厨房から


「外から回ってー!」

と大きな声が飛んできた。


僕は言われるままに外にまわる。


するとなんと!!




「龍神ガガ」


「猫神太郎」


の文字が!!

※工房長は「猫神」と呼ばれる陶芸で有名なのだ!


驚きのあまり言葉を失っていると、中から工房長も現れた。

そして、仰け反った!!(人は驚くと仰け反るということを僕は知った)


このサプライズは、工房長も聞いていなかったらしい・・・。


あまりの感動に僕たちは胸がいっぱいだった。

呆然と立ち尽くしていると、

「さあさあ!!あんたたちふたりとも創作家なんだから縁起よく行こうや!!これでいっぱい稼いでね!!」

と、縁起物の大きな熊手を両手に持って大将が店から出て来た。



そして大将の号令で、三本締めを!!


「小野寺さんと田崎さんのますますの活躍を願って!!よーーーっ!!」


笠間稲荷神社の境内にまで響く、勇ましい掛け声。


ダメだ、もうやめてくれ。

泣いちゃうじゃないか。

大将、あんたスゲーよ。マジでスゲーよ。


あまりの驚きと感動で、僕はもう涙をこらえるので精いっぱいだった。

工房長も目に涙を溜めて、グッとこらえていた。

でも、ワカは、隣で笑いながらウオーっと泣いていた(笑)。

その感動を素直に大将に伝えると、こんな言葉が返って来たのだ。



「そうだよね~。伝えたいなって思ってもやらない人が多いからね~」と。


僕はその一言がすべてだと思った。


「人を喜ばせたい」

 

「楽しんで欲しい」

 

「この思いを伝えたい」

 


そう思っても、恥ずかしさとか周りの目とかが気になって行動に移せる人は実際は多くない。


それを躊躇なく、行動に移せる勇気。

そして豪快にやってみせる心意気。

さりげなさ、粋さ、相手の心に負担をかける余地さえ与えない大胆さ。

これこそ、神様をも惚れさせる人間の魅力なんじゃないだろうか。


「あの1日は本当に感動したし、すごい学びになりました。僕ももっともっと精進していこうと決意を新たにしました」



僕はガガに向けて、強い口調で言い放った。


・・・・・・シーン。


「あ、あれ?ガガさんは?」

僕はワカに問いかける。


「なんかね、笠間が気に入っちゃったみたいで、また笠間に飛んで行っちゃったみたいよ我が住める物件がないものかね?ちょいと探してくるがねって言って」


マ、マジで!?

うーん、ガガも笠間での歓迎がよっぽど嬉しかったらしい。


工房長と大将。

笠間の二人のスーパースターに本当に素晴らしいおもてなしの時間をプレゼントして頂きました。

ここに改めて御礼を申し上げます。


そしてこのお返しはですね、僕の新しい作品で必ずや喜んでもらえるように、ここにお約束いたします!


さあ、手帳も無事に発売したし、次の原稿に真っ向から取り掛かります!!


力の限り、頑張りますよっ!!!

 

もう元気100倍です!!!
 




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