「いや~、疲れた疲れた」

僕は玄関に靴を脱ぎ捨てると、ふぅ~っと息を吐き出した。

ある夜のことである。


「タカ、今日は付き合いで遅くなるんじゃなかったっけ?」

ソファで書き物をしていたワカが、顔を上げて言った。

「そのつもりだったんだけどさ」

上着を脱ぎながら僕は言う。


「楽しくないんで帰って来たよ。なんか他人をバカにして笑いを取るような人がいてさ」

自分がされてるわけじゃないのに、どうしてあんなに嫌な気分になるのだろう。

僕はミネラルウォーターをごくごく飲んで、喉と心の渇きを潤した。

皆さんの周りでもいないだろうか?


他人のことをディスって笑いを取ろうとする人。

注意ちなみにディスるとは、英語のディスリペクトから来ていて、侮辱するとか辱めるという意味がこもった言葉のこと)

「ちょっと太ったんじゃね?」

「おまえは空気読めないからな」


なんてことない会話かもですが、

なんとなく棘のある言葉を吐いて、ゲラゲラと笑う人。


本人はそれで笑わせようとしているのかもしれないけど、その場の空気は冷めていく。

もう用事は終わっていたし、特に残ってる必要もないと判断した僕は、

「お疲れ様でーす、帰りまーす」

と言って、サクサクと帰宅したのだ。

 


 

すると、


「ほう、タカや、なかなかやるではないか。

おまえ、いい判断をしたがね」





珍しくガガが誉めてきたのである。


「え、そうですか?お褒めいただいて恐縮ですけど、それのどこがよかったんでしょう?」


僕は思わず聞き返した。


「簡単だがね。世の中にはな、パッパと縁を切った方が良いヤツもいるのだよ。パッパとな」


「ガガったら、また乱暴な言い方して」

ワカが呆れている。


「ガガさん、それってどんな人でしょうか? そこんとこ詳しく聞きたいんですけど」

僕の問いに、

ガガは「ほほう」と呟く。

そして、ゆったりと髭を撫でながら言った。(イメージです)。



「では教えてやろうかね。

他人をバカにして笑いを取ろうとするヤツ。

特に身体的な特徴をディスってくるヤツは要注意だがね」

 


「つまり、人前で『お前は太ってる』とか『お前は頭悪いから』とか、

相手の気にしていることを笑いのネタにしちゃう人ってことでしょうかね」


「あ~いるいる!私そういうヤツ大嫌い」

と、ワカが顔をしかめた。

「そりゃ、僕だって嫌いですけど、そんな人と一緒にいるとなぜダメなんでしょう? ある程度我慢すればいい気もしますが・・・」


そこんとこを詳しく聞きたいのである。



「タカや、おまえは実にバカだな。特段理由など必要ないのだよ。ディスられて気分がいいかね?」


「ま、いいわけないですよね」


「そうだろう?それにだな、人間は人前でコンプレックスをネタにされると、それがどんどん悪化する生き物なのだよ」

 


「え?例えば、太っているのをネタにされた人はますます太るとか、そういうことですか?」


僕は驚く。


「さよう。人間は他人に笑われると、そのコンプレックスを更に意識するようになるのだ。

だがそれは『太っている』という事実をひたすら認識しているに過ぎん」


「ははーん。人に笑われることによって、自然とコンプレックスに感じている部分が強調されて、ついにはそれが現実化してしまうってわけね」


ワカが難しい顔をする。


「なるほど。人は思ってることや感じていることが実現するようになってるから、コンプレックスを意識しすぎることでその通りになっちゃうのか……」

 


なんとまあ、えらいことである。


偉大なる龍神はこう続けた。


「もしも本当に相手のことを思うのなら、耳元でそっと注意してやればいいがね。それが本当の優しさというものさ」

 


僕もブログなどで誤字や脱字があった時に、そっと教えてくれる人がいました。

他人に悟られないようにそっと必要なことだけ教えてくれる、それが本当の優しさ。

ジンと来ます。

わざわざ公の場で指摘するような野暮は、決してしません。


そういう人とはその後、信頼関係を結ぶことができました。


自分のための発言(コメント)か、相手を思っての発言(コメント)か。

 


これをはき違えると大変です。


もし周りであなたのコンプレックスをディスるような人がいたら、悪いことは言いません。

パッパと距離を置くことをお勧めします。


「ところで」

と、僕は顔を上げてガガに問いかける。

「ガガさんが僕のことをバカバカと言うのはどうなんでしょう?」


「それはディスっているのではない、本当のことだがね!!

いつもそっと優しく教えているではないか!!」

 


ガガさんにとっては、これでもそっと優しく教えてくれてるらしい(笑)。


やっぱりガガさんには敵わない。

偉大な龍神様である。





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