「あー、しまった・・・・・・」
僕は一人声を上げた。
仕事でちょっとしたミスをしてしまったのだ。
気付いた時にはすでに遅く、僕は
「ああすべきだった、こうすればよかったのでは」
と、リビングで頭を抱えていた。
すると、
「ぐっどもーにんぐだがね~」
ガガの軽やかな挨拶が響いた。
もちろん通訳は妻のワカである。
まったく人の気も知らないで、とは思うがガガには何の罪はない。
それでもマイナス思考の時はついつい誰かに当たりたくなるのが、人間の弱さであろうか。
「まったくタカはいつまで経ってもダメダメだがね」
「どうせ僕はダメダメですよ、けっこうマズいミスしちゃったし」
僕は口を尖らせて返す。
ああするべきだった、と後悔することは多くの人がしている経験だろう。
すると、
「やっぱりおまえはバカだがね。我はそんなことを言っているわけではないのだよ」
ガガが言下に否定する。
え?え? どういうことですか?
僕は思わず眉をひそめた。
「おまえが、『ああすべきだった』『こうすべきだった』といくら言ったところで、過去が変わることは決してない」
「まあ、それはわかっていますが・・・・・・」
たとえ100回、「こうすべきだった」と唱えたところで、過去が変わることは絶対にない。
だが、過去を悔やんでしまうのは、どうしようもない人間の性(さが)である。
「もちろん過去の過ちを反省することは大切だがね。反省するということは、自分の過ちを認めることでもあるからな」
ガガはそう言うと、一旦間を置いて続ける。
「しかしだ。過去の言動に拘っている限りは、新しいものへ向かって進むことはできん。だからな・・・」
そこで僕はガガの言葉を遮り、こう続けた。
「『ああすべきだった』から『次はこうしよう』と未来の行動へと視点を移す。そういうことですよね」
わかってるよ、とは口には出さない。
そう、わかっているのだ。
悔やんでもどうしようもないから、反省して進むしかないのである。
「わかっていたら今から挽回できることに取り掛かるがね。モタモタするな、時間は待ってくれぬぞ」
偉大なる龍神は厳しくも優しく僕に言い放った。
人間は過去に拘ってしまう人が多いものです。
「ああすればよかった」
「こうすればよかった」
「なんであんな失敗したんだろう」
と。
ですが今からこう言葉を変換してみましょう。
「次はこうしよう!」と。
そして、
「これからできることはないか?」と。
僕はすぐに立ち上がった。
今からできることは、まだある。
「ワカ、すぐにあの部分を直そう。ラストまでまだ6時間ある!!」
「おっけー。すぐやろ、気合い入れよ」
と、あまり気合いの入ってない声で妻が言う(笑)。
ああ、これは確か、妻龍の時と同じ展開だ。
龍の授業の前もそうだった。
このパターンからすると、きっと次作もベストセラーに違いない。
さて、やるか!!!
皆さんは良い日曜日を!!
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今日もご愛読ありがとうございました!