この日、僕はせっせと
年末に出るムック本のゲラを確認していた。
後ろに座るダッフィーが、なんとなくだらけている(笑)。
すると、
「タカや、我のカッコいい発言はちゃんと入っているかね?」
いつものようにガガが声をかけてきた。
「もちろんです。なんと言ってもファンの方々が聞きたいのはガガさんの言葉ですからね」
僕の言葉にガガは「そうだろう。そうだろう」と満足げに頷く。
やはり龍神様も、自分の言葉が喜ばれると嬉しいらしい。(ガガは特にだ)
「締め切りが近いんで、それまでできる限りチェックして良いものにしますね」
僕が親指を立てて言うと、
「そうなのだよ!!!」
と、ガガは大きな声を上げた。
「ビ、ビックリするじゃないですか!!急に大きな声出して」
「いいから聞くがね!!人間は仕事でも、子育てでも『完璧にすること』が良いことだと思いがちだ」
「そりゃ、完璧にできれば、それに越したことはないんじゃないの?特に仕事はさ」
ワカが素朴な疑問を口にする。
彼女もけっこう完璧主義者な部分がある。
「それは当然、悪いことでがない。だが、物事には限度があるだろ?特に限られた時間の中で仕事をする人間であれば、なおさらだ」
まだエンジニアだった頃、ある同僚が頼まれた仕事がなかなか終わらずにいた。
なぜかと聞くと、「もっと完璧にできるはず」という答えが返って来た。
だからいつまで経っても仕事が終わらない。
完璧を目指すのはいいけど、それで仕事が完結しなければ本末転倒だ。
「その時できる範囲の中で、最高を目指せばよいがね。その微妙なバランスを取ることが人生では大事なのだ」
「つまり、締め切りを守ることを優先に最善を尽くす。ということですね」
「さよう。限られた条件の中で最善を尽くす。だから人間は何事にも全力で取り組めるようになるのだよ」
ガガの言葉に納得した僕は大きく頷いた。
「わかりました!僕も締め切りまで最善を尽くして仕上げます」
そう言って僕はゲラに目線を戻す。
僕に与えられた仕事には「期日までにしっかりと仕上げる」という条件も含まれている。
その条件の中で、最善を尽くす。
「完璧」ではなく、「今できる最高の仕事」を目指す。
それが大事。
皆さんも今日の最善を尽くしていきましょう。
良い一日に
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