「いやー、まいったまいった」


玄関に滑り込んで、僕は言った。

 


 

「ちょっと、タカ!!ずぶ濡れじゃない」


「そんなに降ってないなー、と油断して出かけたらすごい雨が降ってきてさ」

濡れた靴下を脱ぎ、タオルで頭を拭く。


「最近は大気が不安定で、すぐザーザー降りになるんだもんなあ。まいったよ」


「さっきまではシトシトだったのにね。龍神様がイタズラしたんじゃない?『あ、タカだ!降ってやれ』って」

洗濯機を回して、ワカがケラケラ笑った。


するとその言葉にガガが反応する。





「ふうむ、なかなかおもしろい話ではないか。ザーザーとか、シトシトとか。そんな言葉で雨の降りかたが想像できるとは、興味深いがね」


「え?そうですかね? 普通のことだと思いますけど」

僕は意味がわからず聞き返す。

だって子供の頃からそう表現してたからなあ。


ガガの瞳がキラリと光る。

「ふん。おまえたち、日本語のすごさをわかっておらんようだな。実はこの感性こそが我々龍神と日本人がつながれる所以なのだよ」


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シトシト…

ザーザー…


これを聞いて皆さん『雨』を連想しましたよね?


では、「しんしんと降る」ならどうでしょう?


おそらく『雪』を思い浮かべるはずです。


でも、実際に雪が降っても「しんしん」という音はしません。

実はこれこそが、日本人の感性の表われなんです。



ガガによれば、鳥の声、川のせせらぎ、そういう自然の音を認識できるのは日本人だけなんだそうです。

日本人は耳から入ってくる「音」をすべてそのまま脳に伝え、言葉で表現しました。
それが「やまとことば」です。


その特徴は擬音に現れていて、
ザーザーと言えば、激しく降る雨の音。
シトシトと言えば、静かに降る雨。
しんしん、だと静かに降る雪。


その他、コトコト、スタスタ、さらさら、ふわふわ・・・
日本人は全ての音を表現しようとしました。


すごいのは、音として聞こえないものまで表現しようとしたこと。
これが日本人の感性。


しかし、外国の人はすべて「雑音(ノイズ)」、としか認識できないのだそうです。
虫のせせらぎ。
秋の鈴虫のリン リン リン リーンという鳴き声もノイズになってしまうのです。

では、このような感性はどうして生まれるのでしょうか?
通常、人間の脳は

右脳=音楽脳(音楽や機械音、雑音を処理)
左脳=言語脳(言語を処理)

とそれぞれ役割を担っています。
では、自然の音(虫の鳴き声、川のせせらぎ)はどちらで処理されるのか?


東京医科歯科大学の角田忠信教授の研究によれば、
日本人は「左脳(言語脳)で処理」
外国人は「右脳(音楽脳)で処理」
していることがわかっています。


なんと、処理する脳が違うんですね。


つまり、
日本人は自然の音を「言語」として認識している
ということです。



実はこの違いは、民族性や血筋ではなく、子供の頃に使っていた「言語」にあります。
外国人でも幼少期に日本語を母国語として育った人は、自然の音を「言語」として認識する感性が生まれ。
逆に日本人でも子供の頃に外国語で育った人には「雑音」として認識されます。
どうでしょう?
ちょっとすごくないですか?

これが、やまとことばを源流とする日本語の持つ力です。
自然と共に生き、一体化する日本人の感性に他なりません。

龍神は自然の中の存在。

その自然と一体化する日本人が、龍神様に好かれるのは当然といえますね。


ちなみに
神社で奏上される「祝詞」(のりと)。
これは自然から入ってくる情報をそのまま表現した純粋な「やまとことば」で作られています。
自然の音が知恵として日本人の脳に伝わり、そのまま言葉になった。
世界でも稀に見る素晴らしい言語を僕たち日本人は持っているんです。

 



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「なるほど~。今はグローバル化の名のもとに子供の頃から英語教育するところも増えていますが、日本語もこれまで以上に大事にするといいですね。子供の時にしか養えない感性もあるような気がします」


僕は納得して言った。

 


 

「そうね。擬音って綺麗な言葉だもん。表現としてもっともっと使っていくといいかもね。龍神様にも好かれるし♪」

せんべいを食べながら、ワカが言った。

パリパリと美味しそうな音がする。


「これからは、古き良きものが運気アップにもつながるからな。古くから日本人が親しんできた言葉だって古き良きものに違いあるまい」

ガガは大きな口を開けて笑った。

気付けばいつのまにやら雨は上がって、リビングに陽が差し込んでいる。


「てか、俺が帰ったとたんに晴れるのかよー」

うう、なんか悔しい。


「よっぽど龍神様に好かれてるってことでいいんじゃない?」

ワカが言う。



「なに!!我々は別にタカが好きなわけではないがね!!タカごときに雨をコントロールされてたまるか!!」

 


 

もう僕、降られ損です(^^;)

へっくしょんっ!!





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