じりじりと暑い日差しを受けながら、石段を登っていく。
うるさいくらいのセミの声が、否が応でも8月を感じさせた。
僕は、妻の両親と一緒にお墓参りに訪れている。
「おまえたちなかなかやるがね。両親も一緒に、ちゃんと墓参りするとは」
ガガが珍しく誉め言葉を口にする。
「そりゃ、ご先祖様の供養は大切ですから」
考えてみれば僕の実家でもお墓参りは欠かさなかった。
自然とそれがあたりまえになっていた。
「そう考えると日本人ってすごいわよね。こんなに多くの人がお墓参りに来るんだからさ」
たしかに、と僕もお墓参りに訪れている多くの人たちを見ながら思った。
お墓を磨き、花を供える。作業に没頭する人たちの額からは、汗が流れていた。
ご先祖様への感謝を忘れない。
その心に龍神が惹かれて日本にわらわらと集まって来るのもわかる気がする。
「我は長く日本にいて気付いたのだよ。日本人は命というものに繋がりを感じていたのだ。だから親から子へ、子から孫へ・・・連綿と受け継がれていくものだという意識がある」
「いうなれば自分の肉体は滅びても、その精神は受け継がれている、ということですね」
「さよう。だから古来より日本人は、受け継がれて来た命に感謝し、先祖を敬う心を忘れなかったのだよ」
今では「先祖供養」というと仏教をイメージしがちですが、実は釈迦が説いた仏教では先祖供養という概念はありませんでした。
それがインドから中国へ、そして日本へ伝わっていく過程で、先祖崇拝の概念を吸収し、現在の日本仏教の先祖供養が生まれたのです。
よく、
「お盆の間に神社に行っていいんですか?」
というご質問を頂きますが、まったく問題ありません。
なぜなら、先祖供養、先祖崇拝の概念はもともと日本の神道にあったものだからです。それを仏教が吸収しただけ。
神道でも迎え盆に迎え火を焚くという風習もあるくらいですから。
そして、お盆休みは家族でご実家に帰省して過ごされる方、自宅で過ごされる方、旅行に出かける方、そしてそんな方々のために働かれている方。
いろんな過ごし方があると思いますが、健康に気をつけて楽しく過ごしてくださいね。
スイカや花火を楽しむのも風情があっていいですね。
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