「おはよーだがね!!」








ガガが叫んだ。

月曜日、また新しい一週間の始まりである。

僕は掃除のついでに、インド土産でもらったシヴァ神家族の置物を拭いていた。


「はて、タカや。なにをしているのかね?」

「あ、ガガさん。おはようございます。これはインドの神様の置物です。たまに磨かないと汚れちゃいますからね」

 

そう言って右手に持った布を当てて隅々まで磨く。僕はきれい好きなのだ。





創造と破壊の神、シヴァ。

 

妻のパールヴァティー。

 

そして、子供のガネーシャ。


シヴァ神の家族。

3神の小さな像を僕はけっこう気に入っている。


日本の神様にお世話になっている僕だけど、外国の神様を歓迎する気持ちも当然ある。

 

ただ、そこにご利益が欲しいとか、守って欲しいとかいう気持ちはない。


あれ?ちょっと待てよ?

僕はふと考えた。

 

日本人が外国に行ってそこの神様にお願いしたら叶えてくれたりするのか?



どうなんだろう。気になる。


 そんなわけで・・・。 



「あの、ガガ先生、質問です」


「ほう。先生とはいい響きだ。なにかね?」

 

ガガが気分良さそうに答える。

 

やはりこの龍神、おだてに弱い(笑)。


「例えば日本人が外国に行って、そこの神様に祈ったりしたら願いを叶えてくれたりするんですか?」


その言葉にガガはふうむ、と少し考えるように口元を結んだ。何か考えているようだ。

  

「よかろう、詳しく説明してやるがね。ただし、我ではなく…」




まさか(;^ω^)



「承知しました。僭越ながら私が説明させて頂きます」



 

 

やっぱり黒龍が現れた(笑)。

詳しく説明できる自信がなかったのか、ガガは黒龍に丸投げしたようだ(笑)。

 

しかしこの辺は詳しく知りたいので、僕たちも黒龍さんの方がありがたい。

 

もちろん口には出さない、いや、出せない。


「結論から言えば、ご利益は期待できないでしょう」


「え、そうなの?」

 

僕は思わずマヌケな声を上げる。

曲がりなりにも神様でしょ?という考えが脳裏をかすめた。


「ここは詳しく説明する必要があるでしょう。そうですね・・・」


黒龍は少し考えるように思案を巡らしてから、説明を始めた。


「野球を思い浮かべてください。人間が野球をする、そこにはまず『野球の神様』がいます」


「ええと、、野球をする人が信仰する神様ってことかしら?」


ワカが聞く。

そうです、と、黒龍は頷き、続ける。

 

「そして人間界にはプロ野球がありますよね。確か12球団」

 

日本には、セリーグとパリーグ、それぞれ6球団ずつチームがある。


「その球団それぞれに神様が存在するのです」


「楽天イーグルスの神様。日本ハムファイターズの神様。ソフトバンクホークスの神様・・・、そんな感じでしょうか?」

 

僕が確認するように言った。


「そうです。その球団の選手が信じ、選手たちを勝利に導く神様です。他の球団の選手のために動くことはありません。そしてその12球団それぞれの神様が、『野球の神様』という大きなグループに所属しているわけです」


ほうほう、なるほど。ちょっと難しいが、なんとなく理解できる。

僕は龍神ノートにメモを取る。


これを国に置き換えてみましょう。日本の神様は日本を守るために日本人が生み出しました。外国の神様も同様です。それぞれの国の人が、自分の国を守ってもらうために生み出したのです」


たしかに神様はその国その国でそれぞれ違う。

 

だから外国では必ず歴史教育の前に、その国の神話を教えるのだ。

 

アメリカではピルグリムファーザーズ(巡礼始祖)、ドイツはゲルマン神話、お隣の韓国だって檀君神話から歴史教育が始まる。

神様はその国の基礎をつくった存在だと理解するために。だから神様に対する感謝と愛着が生まれる。


「神様というのは国を守るために生み出された。常にそれが根本にある、そういうことですね」


僕のつぶやきに黒龍はニッコリ微笑み、言葉をつなぐ。


「さすがタカさん、その通りです。ですから日本人が外国の神様に祈っても直接ご利益があることはありません。それは巨人の選手が阪神の神様に祈るようなものだからです」


「じゃあさ、日本で他の宗教を信仰していても意味はないってことなの?」

 

ワカが怪訝な顔で口を挟む。

 

日本にも他の神様を信仰している人はいるのも事実だ。


「筋を通してきちんと信仰している人は、いいでしょう。私が言っているのは『パワーがあるから』とか『すごい神様だから』と外国に行ってお願い事をしてもダメだということです。もちろん好きで挨拶に行くだけならいいでしょうが」


そう言うと黒龍は一旦間を置いてから続けた。


「それに日本で外国の神様を信仰していても、日本に住んでいる以上はベースには日本の神様がいます。日本という国を守ってくれている神様は分け隔てないのです」


分け隔てない・・・。

あたたかく、やわらかい。いい言葉だ。

  

日本人はかつて大らかに外国の神様も受け入れた。

 

その象徴が七福神である。

 

七福神はほとんどが外国の神様。

 

日本発祥の神様は恵比寿さんだけで、大黒天、毘沙門天、弁財天はインド。福禄寿、寿老人、布袋は中国の神様だ。


「日本の神様は外国人が日本に来て祈れば、日本人と同じように守ってくれます。助けてくれます。ですから神社の鳥居はいつでも開いている。閉まることはありません。どんな国や宗教の人でも分け隔てなく受け入れてくれます。そういう意味では日本の神様というのは・・・」


「最強かもしれませんね」


僕の言葉に黒龍は嬉しそうに微笑み、

 

「そんな神様を生み出した日本人は、大変に強いのです」


その言葉を残して黒龍は身を翻して颯爽と去って行った。

去り際も見事だ。すると、


「どうだね。わかったかね?」

 

ガガが誇らしげに胸を張っていた・・・(=◇=;)

 

いや、説明してくれたのは黒龍さんなんですけど・・・。


最強なのはガガかもしれない(^^;)





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