「うーん。やはり街は良いがね。我は都会っ子龍神なのだ」
ある日、東京での仕事を終えてスカイツリーを見上げていると、ガガが話しかけてきた。
「でも戸隠とか龍神の根城なわけでしょ。自然も多いし、そういうところの方がガガも好きなんじゃないの?」
ワカが至極当然の疑問を投げかける。
僕もそう思う。きっと読者の皆さんもおんなじに違いない。
「うむ。自然の中には龍神がわんさかいるのだよ。戸隠や十和田なんてなおさらだ」
そう言うと一旦間を置いてから続ける。
「そんなところで暮らしていたら、ライバルが多いではないか!! その点、都会はライバルが少ないがね。我はお山の大将で良いのだよ!!」
・・・それでいいのか、龍神様・・・・・・。
「本当に自分勝手、いや自由気ままな龍神様ですね」
僕が言うと、
「ややや!!タカや、いま自由と言ったかね? 最近の人間は『自由』と『楽』を勘違いしているヤツがなんと多いことか!!」
突然ガガが声を荒げた。
「いいかね。最近、人間たちを見ていると『自由にしていい』と聞くとそれは『楽をしてもいい』と間違って解釈しているヤツが多いのだよ。しかしだ、実は自由になりたければ不自由が必要なのさ」
「え? 何それ、どういうこと??」
意味がわからず、ワカが首を傾げた。
「おまえらは本を売りたいだろう? たくさんの人に読んでほしいと思って日々仕事をしているがね」
「そりゃもちろんそうです」
作家として、一人でも多くの人に読んで欲しいと思うのは当然のことだ。
だから僕たちは、どんな小さなことでも楽しんで一生懸命やる。
「売れることで、また次の本を書けるチャンスと自由が手に入るのだ」
そう言うと僕の顔を覗き込むように続ける。
「しかし、そのためには必要な勉強をしなければならん。ファンを楽しませる筆力とエンターテイメント性が必要だからな」
「そんなことわかってますよ。だから仕事の合間にいろいろな本を読んでるんですから。今日だってほら」
そう言って僕はバッグから文庫本を取り出した。
今読んでいるのは「羊と鋼の森」(宮下奈都著)。
読んでいるだけで光景が浮かんでくる文章で、自然とのめり込んでしまう。
こういう筆力を僕も身につけたいと、心から思うものだ。
「しかし、そんな努力をしたところで売れる保証はない」
ガガが言い切る。
なるほど、自由というのはただ「楽をできる」という意味ではない。
野球選手がいくら練習を重ねても成功するとは限らない。
だけど練習を積み重ねてこそ、初めてプロ野球選手として活躍できる資格を得られるという事だ。
僕らも、次につながる保証はなかった。
だけど、その不自由を経たことで今の「自由」が手に入った。
プロ野球選手でいられる自由。
作家として本を書ける自由。
すべての自由は、不自由の上に成り立っている。
僕の言葉に、ガガは満足そうに頷いた。
そして・・・
「どうだね、我は良いこと言ったかね?」
「そりゃあ、もちろん!」
すると、ガガは声を潜めて耳打ちをしてくる。
「実はこれは昨日の龍神会議で出た話なのだ。他の龍神がこのことで困っていたがね。だからぜひおまえたちにも教えてやろうと思ったのだよ」
なるほど。
ガガさんも他の龍神たちの話を聞いてこっそり勉強しているようです(笑)。
僕たちにとっても大変有難いことです。
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今日もご愛読ありがとうございました!!