アポとって取材依頼するのって初めてではないのに
妙に緊張するのは、きっと『正式な仕事』だからだと
思うのね。
正式なって言うのは違うかもしれないけど
私にとっては今までの取材とは意味が違う。
それだけに会議室に通され担当さんを待つこの時間が
なんだか試されている様に感じてならなかった。
左の手の平に何度『人』って書いて飲みこんだだろう…。
緊張と不安が限界に近くなってきた時だった…。
『コンコン。失礼します」入って来たのは30代半ばで
身長185cm位ある男性だった。
すかさず私はすっと立ち上がり直立不動の姿勢で挨拶した。
「初めまして私、志賀野出版の佐山と申します」
素早く名刺を取り出し笑顔で挨拶すると、
「初めまして私、東院出版の蔵崎と申します」
低い声ながらも会議室に響く声が印象的だった。
すかさず続ける「本日はお忙しい所お時間を頂戴致しましてありがとうございます」
蔵崎さんも「いえいえ、こちらこそ宜しくお願い致します」
蔵崎さんが椅子に座るように促す。
「失礼致します」そう言って座った瞬間、蔵崎さんの低い声が
本題の口火を切った。
「早速ですが、本日は葵先生の取材とお聞きしておりますが
どういった内容かをお聞かせ頂いてよろしいでしょうか?」
私は前もって用意していた葵先生の写真集と、今回の取材ターゲットを
どういう風にして選択したのか、同業ならばこその礼節をどう考えているかを
一つ一つ丁寧に話した。
私が説明してる間、蔵崎さんは「うんうん」と頷きながら持ってきた資料に
目を通しながら聞き入ってくれた。
一通り説明が終わると、出されたお茶を右手で差しながら
「どうぞ、お召し上がりください」
そう言いながら、蔵崎さんもお茶を一口飲むと低い声で話し始めた。
「内容は良く分かりました。本来であれば佐山さんの言われるように
同業である態度は慎むと考えるべきでしょう。
しかし、ここまで資料を揃えられてのお考えは感心致しました」
私の弱い所はおだてられてからの急降下だ…。
それは今まで何度も経験がある。まだまだ気を緩めるわけにはいかない。
「私の方で少し考えるお時間を頂戴してもよろしいでしょうか?
それに私の一存で答えるわけにはいきません。
先生に相談した上でのご連絡でもよろしいでしょうか?」
「分かりました。私としましてもすぐにお返事を頂けるとは思ってはいません。
しっかりとご検討された上で結構です」
(本音はすぐにOKを貰いたいところだが緩みやすい心をギュッと絞った)
出版社を出て振り返る。
東院出版と云えば大手中の大手。この仕事をやる人間にとっては憧れの会社。
この出版社から今まで何人の天才がその称号を得たであろう…。
しかも、悠はこの出版社の超がつく売れっ子作家。
それは受け付けから会議室に通される間、至る所に悠の写真が貼ってことで
分かる。
彼氏としてではなく、作家として見たとき悠の偉大さが分かった。
社会人3年目はすべて悠との出逢いから始まったように感じた。
見上げた空に夏の到来を感じさせる風が吹いていた。
妙に緊張するのは、きっと『正式な仕事』だからだと
思うのね。
正式なって言うのは違うかもしれないけど
私にとっては今までの取材とは意味が違う。
それだけに会議室に通され担当さんを待つこの時間が
なんだか試されている様に感じてならなかった。
左の手の平に何度『人』って書いて飲みこんだだろう…。
緊張と不安が限界に近くなってきた時だった…。
『コンコン。失礼します」入って来たのは30代半ばで
身長185cm位ある男性だった。
すかさず私はすっと立ち上がり直立不動の姿勢で挨拶した。
「初めまして私、志賀野出版の佐山と申します」
素早く名刺を取り出し笑顔で挨拶すると、
「初めまして私、東院出版の蔵崎と申します」
低い声ながらも会議室に響く声が印象的だった。
すかさず続ける「本日はお忙しい所お時間を頂戴致しましてありがとうございます」
蔵崎さんも「いえいえ、こちらこそ宜しくお願い致します」
蔵崎さんが椅子に座るように促す。
「失礼致します」そう言って座った瞬間、蔵崎さんの低い声が
本題の口火を切った。
「早速ですが、本日は葵先生の取材とお聞きしておりますが
どういった内容かをお聞かせ頂いてよろしいでしょうか?」
私は前もって用意していた葵先生の写真集と、今回の取材ターゲットを
どういう風にして選択したのか、同業ならばこその礼節をどう考えているかを
一つ一つ丁寧に話した。
私が説明してる間、蔵崎さんは「うんうん」と頷きながら持ってきた資料に
目を通しながら聞き入ってくれた。
一通り説明が終わると、出されたお茶を右手で差しながら
「どうぞ、お召し上がりください」
そう言いながら、蔵崎さんもお茶を一口飲むと低い声で話し始めた。
「内容は良く分かりました。本来であれば佐山さんの言われるように
同業である態度は慎むと考えるべきでしょう。
しかし、ここまで資料を揃えられてのお考えは感心致しました」
私の弱い所はおだてられてからの急降下だ…。
それは今まで何度も経験がある。まだまだ気を緩めるわけにはいかない。
「私の方で少し考えるお時間を頂戴してもよろしいでしょうか?
それに私の一存で答えるわけにはいきません。
先生に相談した上でのご連絡でもよろしいでしょうか?」
「分かりました。私としましてもすぐにお返事を頂けるとは思ってはいません。
しっかりとご検討された上で結構です」
(本音はすぐにOKを貰いたいところだが緩みやすい心をギュッと絞った)
出版社を出て振り返る。
東院出版と云えば大手中の大手。この仕事をやる人間にとっては憧れの会社。
この出版社から今まで何人の天才がその称号を得たであろう…。
しかも、悠はこの出版社の超がつく売れっ子作家。
それは受け付けから会議室に通される間、至る所に悠の写真が貼ってことで
分かる。
彼氏としてではなく、作家として見たとき悠の偉大さが分かった。
社会人3年目はすべて悠との出逢いから始まったように感じた。
見上げた空に夏の到来を感じさせる風が吹いていた。