先日の1件以来、私の彼への見方が変わっていた。

編集の仕方とかじゃなくて、仕事に対する気持ちとかでもなくて

なんかこう…うまく言えないけど『包容力』的な想いを感じていた。

彼と出会ってからの私はどこか今までとは違ってるような
そんな感じがあってそれが何なのか分からなかった。


休日のある日。

同僚で親友の麻美と昼ランチからのショッピングに出かけた。

「あれ?莉乃コーヒー好きだったっけ?」

麻美が言うのも無理はない。今までの私は紅茶だったから。

「うん。最近はコーヒーなんだぁ」

(きっと彼の影響だな…。)


「てかさぁ、最近どうよ?」

麻美の唐突な質問に私は…

「最近がなにさ?」

(変なドギマギ感ございます)


「なんかない?いいことあったぁとか…ない?」

麻美は何が聞きたいのか意味不な質問…

「麻美はいいじゃん。彼氏いるし、最近どうなのさ」

麻美に話し振ってみた


「彼氏?あぁ…いるけどさぁ…アイツはダメだな」

(彼氏をアイツ呼ばわり出来る関係ってなんかいいな…)

「彼氏いてもさ、なんか出逢い欲しいよね」

(彼氏いたら出逢いいらなくね?と思う私はどうなのさ)


「莉乃。最近出逢いとかないの?」

(出逢いかぁ…あったちゃ言えばあったな…)


「実は…」と、言うや否や「なんかあった?なになになになに」

(落ちつけ麻美。騒ぐな声出すな周りが見ている)焦るし…


「え?まじ?出逢いましたかぁ…とうとう莉乃チャンにも春きましたかぁ」

(春て…いま6月だよ…季節違ってるよ)


「で…どうなの?恋に発展しそうなん?」紅茶を飲みながら聞く麻美に

「恋…かぁ…」コーヒーカップの口を指でなぞるように指を動かす


こないだの1件は伏せておいて今までの彼とのことを麻美に話した。


「まじかぁ、それ恋じゃなくね?」

麻美の『恋』というワードが胸の奥でざわめくのを感じた


ランチを済ませ雑貨屋に立ち寄ると、麻美は目を輝かせ店内の奥へ
入って行った。

私は、店内を一通り見ると『あるもの』の前で足をとめた

『ミサンガ』(そう言えばオレンジ色好きだったなぁ)

「莉乃の頭には彼がいるんじゃね?」私の肩越しに言う麻美


あわてて手にしたミサンガを置いてその場を離れようとした…

が…。麻美に「いいんじゃない?おそろいのミサンガ持つの」


店員さんが言う「お互いの手首に巻き合うと恋が成就するんですよ」

「いいじゃん。恋の成就。いいじゃんいいじゃん」

(浮かれるな麻美…)

「わざわざ、神社で恋が叶いますようにってお願いしなくても
 ミサンガ巻き合うだけで叶う恋があるんなら神頼みのつもりで
 いってみよう」

(いってみよう…って、しかも神社って…)

半ば強引に店員さんと麻美のミサンガ執行に押されたのか買ってしまった…


麻美と別れ歩いて帰る

河川敷の近くまで来た時だった。何気に河川敷見るとオレンジくんが
走り回っていた。(悠もいるのかな)

河川敷に下りるとオレンジくんは私を見つけると猛ダッシュ(かわいー)

「どこ行ってたの?遊ぼうよ」と、小さい体でピョンピョン跳びはねる

オレンジくんとじゃれあって遊ぶとすごく喜んで舌を出して動き回る

夕焼けがとてもキレイで見ているだけで心が癒される
オレンジ色と黄色と薄いパープル色が重なって
心を完全に奪われる…

後ろに目をやると、デジカメを夕焼けに向かってシャッターを切る
悠がいた。その顔は真剣ながらも笑顔だった。

空もいいけど悠のその顔もヤバかった…。

撮った写真を確認すると笑顔で「よし!」と言ってるようだった

「はるかぁ」私が声掛けると「莉乃」って言って私のトコまで来た

「おかえり莉乃。楽しかった?」優しい目で語りかける悠

「うん。でも、悠と一緒が楽しいかも」勇気出して言うと

オレンジくんが「ボクは?」と見上げ私を見る


「なんか買ったの?」私が持っていた雑貨屋『JUNE』の袋を見て言う

「あぁ。ミサンガをね…半ば強引に…」

「半ば強引?ウケるんですけど…」と、笑う悠


「なんかね…その…アレさ…」(恋が成就なんてとても言えね…)

「どした?らしくないよ。いつもの莉乃なら積極的にくるのに」

(そうなんだよねぇ…『らしくない』のねぇー)


「お互いにね…巻き合ったら恋が成就するんだってさ」

(勇気ってか勢い?で言ってみた)

すると、悠が言う「スキだよ。莉乃のこと」って言いながら

ミサンガ袋から出すと私の左手首に巻きながら続けてこう言う

「莉乃のこと大事にするからね」

私も悠の右手首に巻きながら続けてこう言う

「悠の支えになるからね」


ミサンガの効力がどうとかの問題じゃない

ただただ嬉しさと恥ずかしさが見上げた夕焼けのように
入り混じっていた。


夕焼けの河川敷を悠の右手と私の左手が重なり合う

ミサンガが重なり合うように…