「梅雨空に セミの初鳴き アオバズク 夕暮れて鳴き かすかにホタル」
これは私が住む仙台の里山の風景である。暦の上では梅雨なのに猛暑の7月である。
事務所直ぐ近くの与兵衛沼公園の林で、ニイニイゼミが鳴き出した。彼らはセミの先鋒としてやってくる。松尾芭蕉の奥の細道に出てくる山寺での俳句「静かさや岩にしみ入る蝉の声」の蝉は、実はアブラゼミではなく、季節的にはニイニイゼミという説もあるくらいだ。ニイニイゼミに続いてはヒグラシ、アブラゼミそしてミンミンゼミがやってくる。
夕闇に包まれると、ミミズクの仲間であるアオバズク、いつも同じ場所にやってきて、「ホッホー・ホッホー」と、その独特の鳴き声は静かな夜空に響き渡る。この声を聞くと今年もやってきてくれたと、ほっと胸をなでおろす。いつもやって来るアオバズクは沼の南西部にある場所を好んだが、いろいろな工事でその林がずいぶん伐採されてしまい、どうやら沼の中央に場所を移して巣作りをしているようだ。夜行性なので姿は一度も見たことはないが、何世代にもわたって必ず戻って鳴いてくれる。
夕闇の小川にはポッポッポと光が見える。20年以上前にはホタル祭りをして、みんなでその乱舞を鑑賞したものだが、今はすっかりさびれてしまった。ほとんど人は訪れないが、毎年ヘイケボタルが4~5匹飛び回る。だからピカッ・ピカッと光る一匹を見つけただけでも感動する。毎年これしか飛ばないのに、どうやって世代を繋いでいるのか不思議でたまらない。
また来年も彼らに会えるだろうか?