私が選んだスペクトラム支援の名言(その9) | ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

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宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

 「あなたの周囲の世界には、こんなにいろいろな意味があることを伝えたい」
 これは15年以上前、東京でのある研修会で、エリック・ショプラー氏の言葉として教えていただいたもので、構造化を語る上で欠かせない言葉である。ショップラー博士はアメリカのノースカロライナ大学医学部でTEACCHプログラムを開発し、これをノースカロライナ全州規模で実施し、全世界に発信したTEACCHの創始者である。私のアルバムにはCLLCの前でショプラー博士と一緒に撮ったやや今よりずっと若かった私の写真がある。2002年の夏、TEACCHプログラムノースカロライナ視察研修での貴重な一枚である。
 周知のようにTAECCHプログラムは単なる自閉症の指導法(メソッド)ではなく、自閉症スペクトラムの人とその家族が地域で安心して暮らしていくための包括的な支援システムである。そしてTEACCHの大きな柱が構造化である。私は今「構造化とは何ですか?」と聞かれたら、「構造化とは自閉症の人たちに物事の意味を分かりやすく伝えるシステムです」と、答える。なぜなら自閉症の人は、周りの世界を理解することが難しい、つまりWhat、When、Where、Who、WhichそしてHowの理解が難しい。分かったように見えても、よく誤って意味をとってしまう。だからTEACCHが開発した構造化が彼らにこの5W1Hを分かりやすく伝える大きな手立てになるのだと思う。しゃべることができるアスペルガーの人たちも、他者の心がわからない、雰囲気が読めない、比喩がわからない、字義どおりに解釈してしまう、言葉の裏を推測できない等、たくさんのことで苦しんでいる。
 私たちがTEACCHプログラムの理念や構造化を学んでいくと、スペクトラムの人たちの困り感が見えてくる。そうして初めて「あなたの周囲の世界には、こんなにいろいろな意味があるんだよ」と伝えることができるのだと思う。