オールデイズ第十二回「恋のバカンス(VACANCE DE L'AMOUR)」 
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「オールデイズ」シリーズ
海外もの、日本ものにこだわらず、
オレが若かったころの楽しい思い出とともに。

やたら理屈をコネないで、
単純に音楽を楽しんでもらえるよう心がける。
辛口評価ブログを標榜しながらオールデイズに対する偏愛があるので
オールデイズへの辛口は、あんまり無い。
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オールデイズの12回目はイタリア系ものの続きで
「恋のバカンス(VACANCE DE L'AMOUR)」
今回は2バージョンのアップ。



オレがオールデイズを記事にしようと思ったキッカケが
実はこの曲なんだ。
ついに日本オリジナルの登場ってわけだ。
だから今回の記事は、いつにも増してシツコイ。


まぁこの曲をご存知ない方は少ないだろうが
「ジャズの4ビートを生かした、歌謡曲としてはかつてなかったほどの
スウィング感に満ちあふれた楽曲で、シングル発売直後より話題となり・・・」
とWikiには書かれている。

もちろんピーナッツの日本のオリジナル曲であり
作詞:岩谷時子  作・編曲:宮川泰
という当時のヒットメーカーコンビによる作品だ。


で、これをカヴァーしてる外国人歌手も多く、
この曲の決定的なのは、下にアップする
カテリーナ・ヴァレンテによる同1963年の
VACANCE DE L'AMOUR だろう。

ちなみにピーナッツがオリジナルだから
ヴァレンテのほうが後に録音されているのは当然だが
ここでアップするピーナッツ版は彼女らの最もオリジナルで
この後、ヴァレンテのが出た後に
ヴァレンテ版を下敷きにした編曲で再録音されている(はず)

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ではウシ、じゃなくて歌

画像クリックで聞いていただける
※音量にご注意!

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やはりWikiに
東レと渡辺プロとの共同企画によるサマーウェア新商品
「バカンス・ルック(1963年6月発売)」の宣伝キャンペーンの一翼も担い、
「休暇」を意味する「バカンス」(vacances)というフランス語が
日本で流行語になるのにも貢献した
とある。

さらに
宮川泰が1963年第5回日本レコード大賞編曲賞を受賞し・・・

はぁ、そうなんですか。目がテンになった。
たしかに60年代の日本のポップ界は次元が低く、
ヒデェのが多かったけど、このピーナッツのアレンジ(編曲)が編曲賞?
なんだそれ。

ちょっとキツ目になるけど、こんな編曲が・・・
描写は避けるけど、このイントロ、間奏、なんとかならなかったのかね。
当人も恥じたのかどうか知らないが
後でヴァレンテ版を下敷きに、リアレンジしてるじゃんか。

歌も、ヘンな小節や、小唄みてぇなウネリがあって
どうにもこうにも。
銀いろに・・・のところからのハモリがメインの3度上?
これはオクターブ下(つまりメインの5度下)か、
3度下ってならわかるが、3度上ならもっと引っ込めるだろ。
ヘンな非常識な音作りだね。


近年ダブルユーっていう、子供2人チームで、
ピーナッツの、このアレンジを基にしたのを出してるが、
破壊的な作りはともかく、この「銀色に・・・」のところは
ハモはメインの3度上を歌ってるけど、しっかり引っ込めてる。
※ダブルユーのは、最初に出るバカンスのバの音がオリジナルと違う。
これ意図的なものだろうが、明らかに「違うじゃん」に聞こえる。

あーあ めちゃくちゃなコキおろしになっちゃった。
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歌詞を挙げておこう。   作詞:岩谷時子 作・編曲:宮川泰


ため息の出るような
あなたのくちづけに
甘い恋を夢みる 乙女ごころよ
金色に輝く 熱い砂の上で
裸で恋をしよう 人魚のように

陽にやけた ほほよせて
ささやいた 約束は
二人だけの 秘めごと
ためいきが 出ちゃう

ああ 恋のよろこびに
バラ色の月日よ
はじめて あなたを見た
※恋のカンス



陽にやけた ほほよせて
ささやいた 約束は
二人だけの 秘めごと
ためいきが 出ちゃう
ああ 恋のよろこびに
バラ色の月日よ
はじめて あなたを見た
恋のバカンス



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さてと、同じ年の録音(ドイツ国内らしい)で
カテリーナ・ヴァレンテ版をいってみよう。

この曲ほどカヴァーの多い曲もそう見ないけど
これがピーナッツと同じ曲、同じ年の録音と思うと
いかに当時の日本のポップ事情が低俗wだったか
よーくわかるような気がする。

当時、これを聴いてノックアウトされ、
今だに、これを超えるのを聴いていない。

恋のバカンスって、こういう曲なんだよな。
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画像クリックで聞いていただける
※音量にご注意!

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どうだい、この素晴らしい編曲。
ストリングスなど使わず、フルバンドだけでね。
まるっきりヴァレンテの本領のジャズってー感じ。
(ヴァレンテはベイシー・バンドのと競演録音も出してる)

まずイントロの、オリジナルの雰囲気は壊さず、ひとひねり。
そして、銀色に・・・のハモは無し。
ハモリはもっと遅くに、初めてあなたを・・・から付けてるが、
こういうハーモナイズが一人二重唱、
いやラスコ(コーラスのバンドマン用語)の基本だろう。

さらに間奏の見事な金管のシャウト、トランペットのシェイク、
いんやぁ、かっこいいなぁ・・・もう当時からシビレてたよ。

エンディングでさえ、フルバンドで可能な極致とでも言おうか、
とにかく日本の真似っこ洋楽とは異次元のものだったね。
オケはWerner Muller(リカルド・サントスともいう)だそうだ。
あれ?ヴァレンテはクルト・エーデルハーゲンの専属歌手だったはずだが
なんでこの録音はWerner Mullerバックなのかね?

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このレコード、ピーナッツと同じキングから出てて
シングルのみ発売(アルバムに含まれない)
しかもB面も同じ「チャオ」ときてる。

このチャオを、ヴァレンテの日本語歌唱として
すごく推してる人がいたっけ。
これも並べてお聴きいただきたいところだが、
今、アナログ・レコードプレイヤーがバラバラなので
後でピーナッツの音源発掘とともにアップしてみようか。

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ちなみにカテリーナ・ヴァレンテは「歌う通訳」と呼ばれ
5カ国語を話すイタリア系歌手として知られていて
日本語歌唱も、他にもたくさんある。
本来はジャズ系の人なんだろうね。


最後にこの曲、また聴きたいか
☆聴きたい