初めて訪れた海外は香港でした。

かれこれ20年ほど前、香港が英国から中国に返還されて数年のころです。

 

一番の印象はというと、やはりキラキラとした大都会。

狭い範囲にぎゅっと高層ビルが林立し、その下を人々がこれまたぎゅうぎゅうと行き交う、実におもしろい街でした。

 

 

その香港では、返還後50年は高度な自治を約束されています。

これは、中華人民共和国というひとつの国のなかに、二つの制度が両立する「一国二制度」であることを意味します。

 

今回の国家安全法が成立したことで、ここ最近これまでも危うかった一国二制度は、事実上終了したといえるでしょう。

 

これから、香港では体制批判は絶対にできません。

日本では、メディアも一般国民も現職総理大臣の悪口など言いたい放題ですが、香港ではそういう言論空間ではなくなるということです。

 

そもそも、香港での高度な自治など、最初から期待できるものではありませんでした。

 

よくよく考えてみるとそうです。

共産主義はひとつの考え方で国をまとめる思想なので、当然異論を排除しようとします。

そういう国の体制を維持するためには、自由な言論が許される場所があってはならないわけです。

 

ウイグルやチベットの状況はまさにそうです。

チベット仏教やイスラム教といった、共産主義とは異なる考え方が排除すべき対象となるのは、中国では自然なことなのでしょう。

 

新疆ウイグル自治区やチベット自治区に「自治」といえるものはありません。

あるのはウイグル人やチベット人への過酷な人権弾圧です。

 

こうした中国のやり方に、各国が批難の姿勢をはっきりと見せています。

我が国も、「憂慮」くらいでなく、もっと強くはっきりと意思を示すべきです。

北東アジアに位置する我が国は、太平洋の向こうの国や、中国から遠く離れた欧州各国などよりも、ずっと迫る問題は深刻でもあるのですから。