今晩は、良己なうです。
新しいガチャを試してみたら
どうなんだろう……?と思っていた可動が
偶々出たので装備してみました。
ついでに物凄い短編な小説でも……。
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黒い翼を生やした少年、カリムは
そっと目を閉じると夜の静けさの中に満ちた魔力を練り始めた。
1……2……3……4……
5まで数えたところで目を開くと
左手に持ったステッキで本に示された図を空へと刻み
人間の耳では聞き取れない言葉を
ゆっくりとじっくりと唱える。
ああ、後すこし…。
後すこしだけの辛抱だ。
明日の晩には、あいつは居なくなる。
そんな暗い想いをそっと籠めて詠唱を続ける。
言葉を紡ぐごとに杖が手の中で振動し
右手に持った本の重みが増す。
――明日になったら
再びそう思った瞬間、
白い光が静寂の中へと消えて行った。
「っ、クソが…」
集中が途切れ、その場に満ちていた魔力も消え失せた。
――ガシャンっっ!!
苛立ちに任せて手にしていた本をガラスの扉に叩きつける。
杖を近くのテーブルへと置くと
マントを脱ぎ棄て、遠くへと投げやる。
「っ……ああああああー!!!」
やけくそ気味に叫びを上げると近くの戸棚を力任せに殴る。
――ぼたっ、ぼたたっ……
グローブで守られていた手は無事だったが
飛び散るガラスが運悪く腕を切り、
床にゆっくりと濃いバラのような池が徐々に形成されて行く。
濃厚な鉄サビのような香りが小さな部屋に充満しはじめた頃
漸く冷静さを取り戻すと、逆の手で深く切ってしまった傷を押さえた。
純白のグローブがどんどんと赤黒く染まるのを見て
今の状況があまりにも滑稽に思えた。
「……クッ」
自嘲気味に一つ笑いを漏らすと、負傷した個所を強く圧迫して
それ以上床の赤い湖が広まらぬよう暫しの間動きを止めた。
どれくらい経ったのだろう?
気付くと外から小鳥のさえずりの声が聞こえていた。
明日だ、明日……
溜息を零すと、
血染めになってしまったグローブを嵌めた手をだらりと下ろす。
こうしてまたあいつの寿命は1日伸ばされた。
俺はいつになったら、あいつを消せるのだろう…?
愛しくも、憎い、あいつの事を。


