12月15日に北海道大学で開かれました公共政策大学院の院生協議会シンポジウム「自治体議会のこれから」に出席致しました。

このシンポジウムは、基調講演「仕事としての自治体議員」をはじめ、院生発表「自治体議会の議員定数・報酬はとうあるべく」、パネルディスカッション「これからの自治体議会の役割・あり方」などを通して、議員の定数・報酬問題を通じて議会のあり方を考えることを目的に開催されました。


基調講演では、金井教授から、「採用者側から見た議員の仕事」として、⑴選挙制度という採用手続き、⑵仕事の特異性、⑶採用期待人材層への指針についてお話を頂き、「求職者側からみた議員の仕事」として、⑴過去の雇用社会のなかの議員、⑵21世紀初頭の雇用社会のなかの議員、⑶議員の厚遇性について、過去から現在までの社会状勢の中での議員について問題提起頂きました。

院生発表では、議員の定数と報酬について、「多いから、高いからではなく、議会の機能を発揮するためにどのくらい必要なのか」との視点で発表して頂きました。この中で、全国の議会で、定数と報酬の議論されているが、議会の方向性や機能に関する議論がされていないのではとの問題もご提起され、議会の機能を行政評価型と政策立案型などと議会像のモデルを作り、その機能の上で定数と報酬を算出しその具体な例をお示し頂きました。

定数については、 議会の性質からのアプローチとして、討議性と市民性を重視した場合の2種類で算出。討議性は、定数(上限)=常任委員会数3×討議に適した人数6~7人+議長1人=19人、22人。市民性は、定数=意見交換会を実施する地区数6×1地区当たりに配置する議員数3人以上=18人、24人、30人・・・と、定数を決定。

報酬については、活動内容を行政評価と基礎的な活動とそれぞれのケースで整理した上で、行政監視・政策評価の目標時間を本会議365.5時間、常任委員会70時間、議会運営委員会40時間、決算103時間、その他85時間で合計663.5時間と換算。それを一日8時間として活動日数を出し、1日あたりの基準報酬額27,229.2円(市長・副市長・教育長の3役平均)でかけた結果、議員報酬は188,194円としていました。

分析はすばらしいものでしたが、現場にいるものとしては、少し算出過程において疑義を感じるものもありました。院生もそれは理解しておられ、今後さらに研究を積まれるとのことでしたので、またぜひその後の進捗報告会を開催頂きたいと思います。

さて、この院生発表を受けた上で、定数と報酬についての私の考えを述べます。

定数に関してですが、私は、公約で定数削減を掲げていましたが、議会傍聴や取材活動を経た上で「人口に対して多い(人口÷5,000=定数)だ」などという考えで明記していました。今回の院生発表を受け、目指すべき議会像や議会の機能についてしっかり考えて必要な定数を出して論理的に議論していく貴重な問題提起を頂きました。ただし、中に入って活動してみると、単純に議会活動だけを活動量として積算していいのか、意見交換会を実施しただけで市民性としてアプローチしていいかは疑問であります。議会中に質問出来ない時間が大半でありますし、さらに議会活動以外にも議員には様々な活動(それも議員の仕事かと言われる場合もありますが…)があります。院生たちの問題提起は大変重要でありますので、この根本的なところをしっかり考えて、市民が議会に何を求めているのかも共有した上で、小樽市議会の定数は一体いくらが適当なのかを掲示していくことが必要になると思いました。

また、報酬については、単純に議会活動だけで時間を換算することは出来ないと思っています。小樽市議会の場合は、月額418,950円(参照:http://te28anzai.jimdo.com/お金の情報公開/で、院生の参考としても上げられていましたが、これがそのままポケットに入るわけではなく、所得税・道市民税・国保・年金などが差っ引かれて30万円あるかないかになります。そこから活動費として支出するわけですが、調査・研究費や市民相談に対する諸費、その他もろもろのお付き合いなど多岐にわたる経費があるというの現状であります。ただし、活動があるあると言っても、それが市民の方々からいらないと言われることもあるかもしれませんし、市民の方に情報共有出来ていなければ、この支出についても理解されません。この院生発表後に行われたシンポジウムで、先進的な議会改革で知られる会津若松市議会の土屋隆議会制度検討委員会委員長さんと芽室町議会の広瀬重雄議長さんから、様々な取り組みや考え方について教えて頂きましたので、吸収出来るものは吸収し、今後に活かしていきたいと感じました。

定数、報酬の問題は、住民の皆様にとっても大変高い関心事だと感じています。私が立候補したのは、まず情報公開(今は情報共有と言わせてもらっています)をすることであります。その上で、議員定数の削減、午後から議会の改革、その他、若者とのまちづくり、福祉などの諸課題に取り組むことを公約しています。

任期を頂いて1年半となりましたが、これからも、先進的な他都市の議会や議員さんからたくさん学び、議会・議員が得意である住民との接触を行い、住民の理解を得、住民が一緒にまちづくりに参加していけるような議員・議会になれるよう取り組みを進めて行かなければならないと実感しています。今回の院生の発表は、大変参考になるたたき台となると考えており、この年の瀬に、このような機会を頂き大変ありがたく思っています。